岩瀬大輔, 飯田泰之, 古市憲寿, 駒崎弘樹, 経沢香保子, 為末大, 田端信太郎, 加藤嘉一『5年後働く自分の姿が見えますか?』角川oneテーマ21、2013年9月

 

 

■内容【個人的評価:★★★--】

◇ 大事なのは時間の制約の中で可能な限り良い成果を出すこと
  • 岩瀬大輔「会社という看板がなくても通用する人材になれ」
    ビジネスの世界では、たとえ準備に納得のいく時間が取れなかったとしても必死でそ れに間に合わせて、チャンスをモノにした人が勝ちなのです。 完壁なものを作ろうとするあまり、自分の手元に置いて時間をかけすぎ、仕事の本質 を見失ってしまう人は、決して少なくありません。 時間が足りないなら、周りの人の知恵を借りればいいのです。ビジネスは、誰にも聞 いてはいけない学校の試験とは違います。100点の成果物を出そうとして時間をかけ るよりも、50点でいいから、早く上司に見せて必要なフィードバックをもらったほうが、 時聞を短縮してより良いものを作ることができるのです。 大事なのは時間の制約のなかで可能な限り良い成果を出すことであって、 人の力を使うことは、悪いことではありません。(32ページ)
◇ ほんとうに大事な力とは
  • 飯田泰之「お勉強は損をする!」
    さらに、私は「自分から気持ちよく挨拶する」「何かしてもちったらお礼を言う」「人に対して不機嫌そうな顔をしない」の三つを、「死なない程度に世の中をわたっていくための必須のスキル」と呼んでいます。最低限これだけできれば、なんとか生き抜いていける。どんな失敗をしても、過酷な状況に陥っても、生きていれば挽回のチャンスは訪れるかも知れないですしね。 人と双方向コミュニケーションが取れること。臆せずに、人と関われること。 友だち、知り合いが多いこと。それがさまざまな業界にまたがっていて、業種・業界を超えた交流があること。 こういった能力は机にかじりついて勉強して身につくものではありません。マニュアルにもならない。(52ページ)
◇ 起業するタイミングとは
  • 飯田泰之「お勉強は損をする!」
    自分が能力を高めていく中で、労働力を会社に売るよりも、商品を直接消費者や取引先に売ったほうがメリットが大きいと思えたとき、納入業者よりも自分の方が安価でよいサービスを提供できると思ったときが、独立・起業をするとき。 そう考えると、今やっていることがすべて今後に反映するのだと思えます。どんな経験も無駄にならないわけです。 起業の成功パターンにはもう一つあります。それは仕事で付き合っている中で上司や取引先の人に見込まれるという道です。日ごろの仕事ぶりが見られていて、「こいつはできる」「何かのときには、こいつを引きこもう」と目をかけられ、新規プロジェクトに抜擢されたり、パートナーに抜擢されたりする。 あるいは独立を応援してもらえたりする。 こういうケースは元の会社時代の人脈に屋台骨が支えられているので強い。 これにしても、今の仕事の延長線上に成功のタネがあるわけです。 今やっていることがうまくいかないから、起業しようという発想では絶対に成功しません。起業は今うまくいっているからこそ考えるものです。(62-63ページ)

■読後感

それぞれの著者は、若くから頭角を現し、それぞれの分野で顕著な成果を挙げたり、責任の大きなポジションにつくなど活躍している。そんな彼らが社会人として生きる中でどんなことを大切にしてきたのかを語っている。意外なほどシンプルだが、「時間を守り、50点でもよいから仕上げること」、「人のつながりを大切にして活かすこと」などが語られている。