石井住枝『トヨタのできる人の仕事ぶり』中経の文庫、2006年10月
■内容【個人的評価:★★★★-】
◇ [第1の能力]現場感覚
- ①自分の日と足を使って、情報収集をします
②本業の原点である「現場」から答えを見つけます
③現場の状況を把握し、リスク管理には鋭く反応します
④立ち位置や仕事の優先順位は「現場」を基準とします
⑤現場の情報の意味を、読みとる感性をみがいています(63ページ)
◇ [第2の能力]時間管理
- ①複数の仕事を同時進行で進めます
②「朝の1時間」を上手に活用します
③細切れ時間・すきま時間を有効に活用します
④とことん遊び、思い切り仕事をします
⑤仕事の計画を紙に書いて、その通りに実行します (86ページ)
◇ [第3の能力]合理主義
- ①すべてにおいて、コスト意識を忘れません
②ムリ・ムダ・ムラを徹底的になくします
③整理整頓が上手で、「捨てる技術」を身につけています
④当たり前のことを、当たり前に実行します
⑤社会のルールやマナーをきちんと守ります(104ページ)
◇[第4の能力] 委任力
- ①仕事を上手にまかせ、きちんとフォローします
②効果的に教える「五つの方法」を実践しています
③スタッフの昇進も、自分の責任の一っと考えています
④褒めるときは堂々と、叱るときはこっそり叱ります
⑤責任をとるのは上司の仕事と考えています(132ページ)
◇[第5の能力] 育成力
- ①仕事から「逃げない」ことを徹底して教えます
②愛情をもって仕事の厳しさを教え込みます
③叱った後もきちんとフォローします
④新人の教育は上司の責任だと心得ています
⑤コーチングとティーチングの手法を上手に使いわけます(146ページ)
◇[第6の能力] 解決力
- ①大きなトラブルが起きたときほど、冷静に行動します
②トラブル発生時には、スピーディーに対処します
③問題の全容を把握して、自分の立ち位置を決めます
④謝るのは上司の役目と考えています
⑤自分の仕事に誇りをもち、最後まで責任をとります(162ページ)
◇[第7の能力] コミュニケーション力
- ①スポーツで鍛えられる人間性や健康を、仕事に生かします
②刺激しあえる仲間をもっています
③「横軸」の人間関係の大切さを知っています
④多彩なコミュニティーに参加し、人脈を築いています
⑤頼れるメンターやブレーンを上手に見つけています(180ページ)
◇[第8の能力] 応用力
- ①よい事例は「横展」して自分の仕事に応用します
②マネをするときは、自分で考えた知恵を付加します
③災害の報道があると、未然防止活動を行ないます
④OA機器などの機能を、きちんと把握しています
⑤専門用語を使わず、誰もがわかる言葉で話します(198ページ)
◇[第9の能力] 自己認識
- ①自分の適性について、きちんと認識しています
②バランス感覚に優れ、自分の役割を見極めています
③自分だけの出世や肩書きに執着しません
④効果的なストレス発散法をもっています
⑤各部署で勉強しながら、自分の新しい可能性を追求します(232ページ)
◇[第10の能力] 感謝の心
- ①小さい仕事も見逃さず、感謝の言葉をかけます
②スタッフに配慮し、仕事の手柄を独り占めしません
③周囲の人の業務内容や苦労を理解しています
④上位の役職に就いても、自分の地位を誇示しません
⑤声や表情から、相手の状況を的確に察知します(249ページ)
■読後感
トヨタにおける「できる人」たちのエピソードを踏まえ、何が社会人として生きていくにあたり大事なのか、要点をコンパクトにまとめている。一つひとつ書いてあることは、役職者や中間管理職のみならず、一般の会社員にとっても重要なことばかりであり、感嘆しながら読んだ。著者自身が極めて敏腕の秘書であり技術職員だったのだなあと感じさせる本。