門倉貴史『ホワイトカラーは給料ドロボーか?』光文社新書、2007年6月
- 作者: 門倉貴史
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/06
- メディア: 新書
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- 一般的にその価値が測りにくい事務系の労働について、価値評価のための何らかの枠組を確認したい
- そもそも労働と対価を結ぶ糸口を知りたい
- 他国との比較を行ってみたい(無駄な部分も含め、相対化できるかどうか)
- ホワイトカラーとは、「専門的・技術的及び関連職業従事者」(科学者、会計士など)、「管理的・経営的職業従事者」(社長、専務など)、「事務及び関連従事者」(会社の一般的な事務従事者)であり、日本全体で3263万人(全就労者に占める比率は51.1%)である
- 高度成長期以降顕著に増加してきている
- ただし、正社員の割合は約60%である(この5年ほど低下してきている)
- ホワイトカラーエグゼンプション、米国で導入され効果を挙げたが、労働慣行が異なる日本に導入された場合、過労等の原因となるかもしれない
- 優秀な社員ほど会社に搾取されてしまう構造がある。優秀な社員のうえに働いていない正社員が乗っかっている
- 一般にブルーカラーよりもホワイトカラーの方が社員間のスキルの差が大きい
- 日本のホワイトカラーの労働生産性は低いと言われる。また、たしかに先進7カ国中最低という数字も出ているが、そもそもサービスを国際的な観点で評価する為替レートは存在しない。モノの為替レートはそれほど参考にはならないのである
- 闇労働などの存在で労働生産性は見かけ上高くなるし、そもそも需要が低い場合には、技術が高くても実際の売上は小さいため生産性は低いと言うことになってしまう。したがって不況の時には見かけ上生産性も低くなってしまう
- 中小零細企業が多い場合には、機械化、IT化する効果が低いので、生産性は低くなる
- 介護保険ビジネスは近年急拡大しているが、こうした仕事はもともと労働集約的な仕事である。こうした仕事が増えていくと当然労働生産性は低くなってしまう
- 実際に製造業の現場で製造そのものの生産性と全体を比較したところ遜色ないと言う結果が出た。このことからもホワイトカラーの生産性は低いとは言えないのではないか
- ホワイトカラーの労働は一部の優秀な人々に支えられている。社内ニートも多い
- 統計上は就業時間は減っているが、サービス残業が横行(とりわけ優秀な社員に集まる)している。過労死、自殺も多い
- サービス残業は、携帯電話の普及やIT化によってももたらされており、どこにいても呼び出され、休日でも家で仕事ができる体制ができあがってしまっている。
- 経済学では、古典派の限界生産力説を使って賃金決定を説明しているが、制度学派はこれによって決まることはないとしている
- アメリカでホワイトカラーエグゼンプションが成功したのは、客観的な評価の枠組があり、かつ労働市場が流動的であるためである。日本にこれを導入するにはこの前提がないとできない。
経済学の成果を10項目くらいの箇条書きにしてみてはどうか
コブ=ダグラス型成長関数
など(それを通じて何が分かるのか)
パレートの法則
社内ニートがほとんど淘汰されないのが公務員の世界か