チャールズ・L.シュルツ『国民所得分析』東洋経済、1965年7月
- 作者: チャールズ L.シュルツ,塩野谷祐一
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 1965/07
- メディア: 単行本
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- シンプルな経済学上の到達点・原理をサーヴェイする
- 局部的な失業=個人や地方が経済構造の変化に適応することが困難であるために生ずる→構造的失業
- 不況に伴う失業=経済活動の全般的な衰退を反映→一般的あるいは大量失業
- 経済学者の意見は一致をみない。それはなぜか。経済的な面で不一致なのではなく、社会的・政治的な面で不一致なのである。
- 1.経済学者は管理された実験を行うことはできない
- 2.人間の行動パターンは電子の運動と違い、一層複雑であり予測力低い
- 市場需要が潜在的生産を下回ると失業が生じる、一方これを上回るとインフレーションが生じる
- GNPの1カテゴリーとしての投資は、当期の算出高のうち、実物の生産的資産の付加あるいは置換の形態をとる部分である
- 1.企業固定投資
- 2.住宅建設
- 3.企業在庫の変化 がその構成要素
- 人間のさしせまった欲望が満たされないままであるのに、長期間にわたって人間や機械が遊休化するような事態が発生するのか?
- 消費関数、平均消費(貯蓄)性向、限界消費(貯蓄)性向
- 消費者購入は、一般に所得ほど急激な変動をしない。つまり限界消費性向は1よりも小さいということ
- GNIは、個人可処分所得、企業貯蓄、政府支出から成り立っている。
- 乗数効果、所得→支出→所得の連鎖効果、支出の最初の変化よりも大きなGNPの変化をもたらす。政府、企業あるいは消費者による支出のいかなる最初の増加も乗数効果を発揮する。またこのうち消費支出に流れるが割合が多いほど乗数は大きくなる
- 政府支出の増加は総需要を高める。しかし均衡財政の考え方の元では、この危険な公理がなかなか承認されなかった
- 自動安定化要因(ビルトインスタビライザー)
- 1.企業貯蓄が配当という形で支出される
- 2.税収が下がる
- 3.失業保険による政府支出の増大
- 4.消費は生活水準を維持しようとしてそれほど下がらない
- ただし、限界がある、ショックを和らげるだけであり完全雇用の実現には作用しない、
- 投資。企業の工場・設備の購入、企業在庫の変化、住宅建設
- 加速度原理:投資はGNPの絶対水準でなく、GNPの加速度あるいは減速度に依存するということ
- しかし加速度原理がそのまま動くとすると極端に不安定な経済となってしまう。在庫投資は販売が増加するとき正であり減少するとき負である
- 小さな景気後退期において、GNPの変動の最大の部分は在庫投資の変化から生じている
- 住宅投資は、住宅市場の性質のため、需要の増加はしばしば住宅建設の過剰生産をもたらす
- インフレーションは、消費者物価指数、卸売物価指数、GNPデフレーターの水準で判定される
- 大きなインフレーションは生産能力に対しての需要の超過(デマンド・ブル)から生ずる
- 生産性上昇を上回る賃金上昇も物価を押し上げる(コスト・プッシュ)
- アメリカの経済成長
- 今までは現実的算出高と潜在的算出高の関係を決定する諸要因をみてきたが、長期の経済成長には潜在的産出高=経済的生産能力の成長が必要。なぜなら現実的産出高が潜在的産出高と同じになると、一層の需要増加はインフレーションをもたらすに過ぎないからである
- 別の言い方をすると、経済変動の問題は主として需要の問題であるのに対し、長期的経済成長は主として供給の問題―財貨・サービスを生産する能力の成長の問題である(ただし、当然需要の問題もかかわってくる)
- 後進国の成長問題について、二つの正反対の誤謬がある
- 1.これらの国の経済成長には、先進国の経験をあてはめれば解決できるということ
- 2.後進国の成長問題は、純粋に政治的あるいは社会的なものであり、一般的経済的原理は存在しないということ
- 潜在的GNPは以下の要素で決まる
- 1.雇用
- 2.生産性
- 労働者一人あたりの産出高の上昇の原因
- 1.科学・技術知識の進歩
- 2.教育の普及
- 3.労働者一人あたりの資本ストックの増大
- 4.分業化を促進する市場の拡張
- コブ・ダグラス型生産関数
離陸、経済成長、その後の「着陸」については何も語っていない