オットー・エクスタイン『財政学』東洋経済、1967年
- 作者: オットー・エクスタイン,平田寛一郎,日向寺純雄
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 1967
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- 一般的な経済的原理をサーヴェイする
- 公共政策上の重要問題
- 1.国家活動の範囲は、どの程度であるべきか
- 2.あるひとつの公共サービスが遂行されるべき段階は、連邦か、州か、地方か?
- 3.現在の租税制度は経済成長をおびやかしているか?
- 4.州及び地方はなぜ財政難におちいったのか?どうすれば自力で再建できるか?
- 5.政府はどうすれば景気循環にもっともよく対処しうるか?
- 6.なぜわれわれは公債を心配しなければならないか?
- 政府支出は以下の性質
- 政府支出の目的
- 財政膨張の理由
- 1.国防
- 2.移転支出
- 3.教育・上下水道
- 4.教員、警官、公務員の俸給
- 5.政府の活動領域の増大
- アドルフ・ワグナーの「転位効果」いったん増えた財政規模はもとに戻らない
- 政府活動に関する三つの違った立場
- 異論の多い領域:電力事業、保険、通信衛星など
- 市場のテストがなければ、ある公共サービスが実際にその費用より大きい利益をもたらすという保証はありえない
- 公共部門における資源配分の効率を高めるため、経済原則を予算編成に適用することができる、限界便益と限界費用との関係はいくつかの限られた分野において適用しうるがほとんどの分野では適用できない。
- 合理的な選択をするためには意思決定過程が適切に構成されることが必要
- 1.一つの意思決定単位が、所与の目的について責任を持つような組織構造
- 2.政策立案者がもっとも適切な選択に直面できるよう情報が組織化されること
- 3.費用は何年かにわたってながめられること
- 4.低廉で質の高い調達ができるような契約
- 州及び地方政府の財政:基本的に民間でできることは民間で、政府がやらなければならないことは地方政府の段階でなされるべきである。なぜか。
- 1.支出の決定は小規模な政府でやった方が便益と費用の分配がよりよく一致する
- 2.多数の共同体があれば集合財についても個人的選択の可能性が生まれる
- 3.政府の計画をその地域にあったものにできる
- 4.社会的実験を可能にする
- これによりアメリカでは地方が教育を行っており、中央集権のヨーロッパや日本に比べ教育が個性的である。
- 5.政治的な力を背景にした財政配分の傾向を弱めることができる
- 大都市における問題(スラムなど)、周辺地域における問題(人口増による財政難)がある。相互依存関係の共同体では、輸送、上水道、汚物処理を共同して行うことが重要。しかし教育は規模の経済性はなく、合併の効果も疑問がある。
- 租税制度の実際的基準
- 1.確実であること
- 2.申告と徴税の費用
- 3.実施可能であること
- 4.受け入れられること がある。
- 租税制度の公平の基準とは
- 1.利益原則(応益性)
- 2.支払い能力原則(応能性) がある。
- 租税制度は以下のような経済的事象に影響を及ぼす。
- 1.資源配分の効率性
- 2.経済成長
- 3.個人の貯蓄と投資の量
- 財政政策(フィスカル・ポリシー)は、完全雇用と物価安定を実現するという目標がある。ただし景気後退期に支出が増えても同じ乗数効果があるとは限らない。また、その予算立案ー実施過程は時間がかかるため、効果的な手段となりえないことがある。このため通常は自動安定装置の方が自由裁量的政策より効果が高い。
- 政策目的すべてを同時に満たすことは困難である。(物価安定、完全雇用)
- 公債の負担は、私的負債とは異なる。利子支払いや債務の償還が国内に行われるので資源が国外に流出することがない。
- しかし公債を償還するために税率が上がれば意欲の阻害効果をもち、産出高は減少してしまう。
- 通常期にはできるだけ償還期間の短い公債を、そして経済の加熱期には償還期間の長い公債を発行することで経済を安定化させる効果が期待できる。
たとえば、地方の財政支出はどうあるべきか
これについては、一般的な原理と首長の政策によることとなる
個々の政策を実施するに当たり、1件ずつ住民にこれだけの投入をしてこれだけの効果があると確認をとることはできない。