大村敦志『基本民法1 総則・物権総論』有斐閣、2001年4月
- 作者: 大村敦志
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2007/04/18
- メディア: 単行本
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- 民法について、その全体像と基本的な要素を復習する
- 広義の民法:民法典+附属法律(不動産登記法・戸籍法・借地借家法・・・)
- 私人相互間:私法、私人−国家:公法
- 民法の規律する社会関係
- 1.家族:夫婦関係、親子関係
- 2.所有権:自分の物=他人のものでない
- 3.契約:他人からものを獲得する
- 4.不法行為:事故をめぐる財産関係
- 近代日本の民法は、フランス法・ドイツ法を通じローマ法の伝統に連なる
- パンデクテン方式:総則と各則の重層構造、各則にはさらに総則と各則があるという形式。条文の重複を避けることができるというメリットがある一方、ある問題に適用すべき規定が何なのか選び出しにくいというデメリットがある。
- 抽象度の高い概念として
- 1.法律行為:意思内容通りの効果が生じる意思表示。
- 2.時効:時間の経過による権利変動。
- 3.占有:いろいろな場面で出てくるがこれといった共通性がない。その場その場で理解する必要がある。
○序章「民法総則の再構成」
- 法律行為(90、95、96条):成立要件は意思の合致であり、有効要件は意思の完全性、内容の妥当性である。有効要件を欠いた場合には無効か取消となる。
- 契約の主体と客体:人は自然人と法人に分かれるが、双方ともに行為主体及び効果帰属主体となる。
- 契約に当たっては合意が必要であり、「方式の自由(必ずしも契約書は必要ではない)」、「締約の自由」がある。
- 心裡留保:真意ではなくても意思表示は有効。
- 虚偽表示:相手と通謀して行った虚偽の意思表示は無効。
- 意思表示の有効性:錯誤=要素の錯誤があり、重過失がなければ意思表示は無効、詐欺・強迫=だまされたり、おどされたりして行った意思表示は無効。
- 心裡留保・虚偽表示・錯誤は意思の欠けつ、詐欺・強迫は意思表示の瑕疵といわれる。
- 内容の妥当性:内容の適法性と社会的妥当性(公序良俗)の見地から判断される。
- 無効:契約時点ですでに無効である。
- 取消:一応有効。しかし取り消されると契約時にさかのぼって無効となる。
- 第三者保護:契約当事者ではないが契約に関して利害関係を持つ者。一定の条件のもとでその権利が保護される。
- 契約は成立すると効力を持つ=債務が発生する。契約の成立にあたっては「塩釜レール入」事件のように、慣習に基づいた信義則も有効となる。
- 債務は時効により消滅する。権利の行使をしない状態一定期間放置すると時効により消滅してしまう。時効は、請求、(仮)差押・仮処分、承認により中断する。
- 代理:ある人に変わって別の人が何かをすること。法定代理と任意代理がある。
- 自己契約、双方代理は禁止されている。
- 無権代理:代理人と称する者に代理権がなかった場合、あるいは代理権を超えた行為を行った場合。
- 表見代理:見せかけの代理。無権代理であるが、表面上代理のように見える場合、表見代理を主張することにより相手方が権利を帰属させることができる。(第三者保護と同じ)
- 法定代理:制限能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人)、不在者。
- 人:権利義務を有する権能=権利能力、こうした能力を有する資格=法的人格(法人格)。自然人と法人が有する。
- 物:有体物=不動産と動産。主物と従物、元物(がんぶつ)と果実に分けられる。
○序章「物権とは何か」
- 債権は人に対する権利であり、物権は物に対する権利である。
- 物権はそれに関するすべての人に主張可能だが、債権は当事者間でしか主張できない。
- 無主物は先占により、逸失物は拾得により、埋蔵物は発見により所有権を取得できる。
- 動産の占有には公信力がある。
項目を追ったのみ、詳細は改めて確認すること。
非常にシステマティックな構築がされており分かりやすい。