桜井哲夫『自己責任とは何か』講談社現代新書、1998年5月

「自己責任」とは何か (講談社現代新書)

「自己責任」とは何か (講談社現代新書)

■読むきっかけ

  • 自己決定・自己責任といわれる昨今、一体自己責任とはなんなのか。

■内容【個人的評価:★−−−−】
○1「「恋愛」の自己責任とは?」

  • 援助交際については、自分の身体を自分の責任でどう使おうと自由ではないかという理屈が語られる。
  • しかしそれら女子は、家に属している。家に属していながら家の論理を守らないという観点から叱らなければならないのに、自己責任という外の価値観で逃避を許してしまっている。

○2「「責任」とは何だろうか」

  • 近代日本社会では、組織がタコつぼ型となり、責任意識が希薄になったのではないかと思われる。

○3「「公」と「私」について」

  • 歴史上、公の占める位置は私に比べて強かった。とりわけ日本においてはそうである。

○4「「無責任の体系」は日本的現象なのか」

  • 無責任の体系は、日本に固有の現象とはいえない。

○5「日本は特殊な国なのか」

  • 日本の特徴としてあいまいさが言われるが、これは双系性という家族制度に起因していると考えられる。

○6「戦後体制はどのように生まれたのか」

○7「住専問題から日本の明日を考える」

  • 大蔵省は、円高や放漫経営を見逃していた点で責任があるはずである。共同責任、連帯責任といって結局責任の所在を曖昧にしている。
  • 逃げ込める場所としての家が必要ではないか。

■読後感
話があちこちに散らばっており、しかも本質的なことが掘り下げて論じられていないという印象を持った。