香山リカ『老後がこわい』講談社現代新書、2006年7月

老後がこわい (講談社現代新書)

老後がこわい (講談社現代新書)

■内容【個人的評価:★★★−−】
○第一章「ひとり暮らしの友の死」

  • シングルでしかもひとり暮らしの友人の葬儀に出る場合がある。遠縁が喪主というケースもあった。自分の場合もそうなるのだろうかと思った。
  • 非婚の人も多いが、若いうちに離婚してシングルという人もいる。

○第二章「終の棲家は必要か」

  • シングル女性を断る家主もいる。高齢者円滑入居住宅の費用は8000万円なのだそうだ。有料老人ホームはずいぶん増えている。
  • 高齢になってから家を持とうとしてもローンはまず組めない。

○第三章「いつまで働けるか」

  • 定年まで働くという最大のハードルをクリアする必要がある。よく自分の勤務するクリニックには、30代後半、40代前半の働くシングル女性が来て「このまま会社にいていいのか」とため息をつく。
  • 働いていることがすごいと自信を持てればよいが、そんな自分は負け組と思っている人も多いようだ。

○第四章「親の死はどう乗り越える」

  • 自分は46歳であるが、親の死を乗り越える自信はまったくない。
  • 林真理子さんは、お見合いという古典的な方法で結婚し、子供まで持った。いつまでも母の娘だとまずいという直感があったのだろう。
  • 父親を亡くし、その喪失感から父親と同じ職業の人と結婚したが、夫と父親の違いに気が付き、かえって喪失感が募ったようだ。しかし息子が父親によく似ていたため安心したようだった。
  • 自分も親に看取られて死にたいと思ったことがある。親を失っても、あたふたしたり生きる希望を失ったと回りの人に言い散らしたりするのはどうかしている。「私はこども」という価値観から早く自立するべきだ。

○第五章「「介護は家族」が主流の中で」

  • 親よりも先にがんなどにかかるケースがある。そんなとき、なぜと恨むより、親にどう言おうと悩む人も多いのだ。また、余計な心配をかけたくないばかりに言わない人もいる。
  • がんになったとき、すでに母親が亡くなった後でよかったという安心をした人もいた。

○第六章「病気になると何がたいへん?」

  • 恵まれた老後を送っていてもいつか病気になる日が来る。
  • ひとり暮らしだと入院の保証人が立てられないこともある。

○第七章「ペットを失う時」

  • 親の死よりもさらに恐ろしいものがある。それはペットの死だ。シングル女性にとっては、誰に何と言われようとペットが唯一無二の家族であることが多い。
  • なぜペットを溺愛してしまうのか。精神分析学でいうところの「移行対象」に選んでしまうことが多いからである。

○第八章「孤独死だなんて言われたくない」

  • 生き恥と思うのは家族や周囲の人間であって本人ではない。したいことリストをつくってみるのも手かもしれない。

○第九章「「私らしいお別れ」なんてあるのか」

○第十章「自分のための葬儀・遺骨処理を」

  • 孤独死した茨木のり子さんは自分が死んだら自筆の挨拶状が届くよう準備をしていた。
  • 「このたび私、この世におさらばすることになりました。これは生前に書き置くものです。私の意思で葬儀・お別れ会は何もいたしません。『あの人も逝ったか』と一瞬、たった一瞬、思い出してくださればそれで十分でございます。あなたさまから頂いた長年にわたるあたたかなおつきあいは、見えざる宝石のように、私の胸にしまわれ、光ぼうを放ち、私の人生をどれほど豊かにして下さいましたことか・・・。」
  • あの世離婚を望む妻たちも多い。