ロバート・G・ハグストローム、三原淳雄・松本重熈訳『バフェットのポートフォリオ』ダイヤモンド社、1999年12月
バフェットのポートフォリオ―全米No.1投資家の哲学とテクニック
- 作者: ロバート・G.ハグストローム,Robert G. Hagstrom,三原淳雄,松本重熈
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1999/12
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
- フォーカス投資の真髄はきわめてシンプルである。長期にわたって平均を上回る投資収益率をあげそうな少数の銘柄を選び、投資の大部分をこれらの銘柄に集中し、目先的な下げ相場でも保有し続ける不屈の精神を持つ(3ページ)
- いまの実状では、ポートフォリオ運用は、アクティブ・ポートフォリオ運用対インデックス投資という二つの競合する戦略の間の主導権争いに閉じ込められているように見える。
- アクティブ・ポートフォリオ運用のマネジャーは、顧客を満足させるために非常に多数の銘柄を絶えず売り買いしている。(中略)これに対して、インデックス投資は、バイ・アンド・ホールドのパッシブ・アプローチである。(4〜5ページ)
- ウォーレン・バフェットは、継続中のインデックス対アクティブの戦略論争に対してどう言うだろうか?特定のこの二つの選択であれば、間違いなくインデックス投資を選ぶだろう。・・・バフェットは彼独特のスタイルで、「定期的にインデックス・ファンドに投資することで、何も知らない投資家も実際に投資のプロたちを上回ることができる」と語っている。
- バフェットは、しかし、インデックスを打ち負かす確率が大きい、まったく異なった種類のアクティブ・ポートフォリオ戦略があると、すぐに第三の選択肢を指摘するだろう。その別の道がフォーカス投資である。(7ページ)
- 「バフェットの法則」における原則
- 1.企業に関する指針
- (1)その事業は簡明で理解しやすいか?
- (2)安定した業績の記録があるか?
- (3)長期の明るい展望があるか?
- 2.経営に関する指針(中略)
- 3.財務に関する指針
- (1)一株あたり利益ではなく株主資本利益率を重視する。(中略)
- 4.マーケットに関する指針
- (1)企業の真の価値を確定する。
- (2)企業の価値に対し大幅に割安な価格で買えるか?(11ページ)
- 1.企業に関する指針
- バフェットが、”何も知らない”投資家に対し、インデックス・ファンドに投資すればよいとアドバイスしたことを覚えておられるだろう。(中略)伝統的な分散投資のどこが悪いのか?まず第一に、分散投資はあなたが十分な知識を持っていない企業に投資する可能性を非常に高める。(中略)”少数”とは何銘柄のことなのか?−については、大まかに言えば、十五社以下である。(11〜12ページ)
- では、理想的な期間とは、いったいどのくらいなのだろうか?(中略)目標は売買回転率ゼロではない。それは逆方向でのばかげたことであり、よりよい投資チャンスが出てきたとき、それを生かすことができない。経験則としては10〜20%の回転率を考えるべきと思う。10%の回転率であれば、ある一つの銘柄を10年間保有することになり、20%であれば五年間保有することになる。(16ページ)
- もし効率的市場論が正しければ、いかなる人もしくはグループも、市場平均を上回ることはランダムな偶然以外に可能性はない。(中略)だがしかし、バフェットの過去二十五年にわたる運用成績の記録はそれが”可能である”ことの第一級の証拠であり(以下略)(42ページ)
- (経営者の評価について)年次評価書を数年間さかのぼって検討し、将来の経営戦略について経営者が当時語っていることに特に注意を払う。
- その計画を今日の成果と比較する。どの程度完全に計画が実現したか?(121ページ)
- コメント:アメリカにおいて実践されている経営戦略・具体的な経営計画に関する情報の開示と密接にかかわりがある。日本ではどうか。選挙においてようやく一般的となってきたマニフェストのような形で経営計画があるか?
- バフェットの銘柄選別アプローチは、過去20年間ほとんど変わっていない。彼は、企業、経営者、財務、買付価格と、この順番で考える。(中略)チャーリー・マンガーは、常に注意深く選ばれているその数少ない言葉で、次のように言っている。「それを”ヴァリュー”と”グロース”に分けようと考えることすべてが、私には無駄なこととしか見えない。(中略)すべての賢明な投資とはヴァリュー投資である。」(123ページ)
- 第一に、投資をしようと志す者は、ケリー・モデルを使おうと使うまいと、長期的視野を持つべきである。(中略)最初の数回の勝負で常に成功するとは限らない。(中略)
- 第二に、レバレッジの使い方には用心しなければならない。株式に投資する際に借り入れ(信用取引)を行うことの危険さは、ベン・グレアムとウォーレン・バフェットが声を大にして教えている。(中略)
- 第三に、高い確率のゲームをプレイする際の最大のリスクは、大きく賭けすぎることである。
- 「これからの30年間に、異なった種類の大きなショックが何回も起こるだろう」とバフェットは説明する。「われわれは、それらを予測しようともしなければ、それらから利益を得ることもしない。」(240ページ)
- あなたのポートフォリオを、自分が持ち株会社の最高経営責任者(CEO)であるように扱うことである。「とびきり上質の長期の業績見通しを持った子会社を所有している親会社は、グループの”珠玉企業”を売却しないだろう。」(248ページ)