養老孟司『バカの壁』新潮新書、2003年4月

バカの壁 (新潮新書)

バカの壁 (新潮新書)

■内容【個人的評価:★★★−−】

  • 「膨大な「雑学」の類の知識を羅列したところで、それによって「常識」という大きな世界が構成できるわけではない。・・・十六世紀のフランスの思想家、モンテーニュが語っていた常識とは、簡単にいえば「誰が見てもそうでしょ」ということです。それが絶対的な真実かどうかはともかくとして、「人間なら普通こうでしょ」ということは言えるはずだ、と。」(22ページ)
  • 「別に「全てが不確かだ。だから何も信じるな」と言っているわけではないのです。温暖化の理由が炭酸ガスである可能性は高い、と考えてよい。・・・「80%の確率で炭酸ガスと思える」という結論を持てばよい。」(28ページ)
  • 「「学習」というとどうしても、単に本を読むことのようなイメージがありますが、そうではない。出力を伴ってこそ学習となる。・・・ところが、往々にして入力ばかりを意識して出力を忘れやすい。身体を忘れている、というのはそういうことです。・・・仕事が専門化していくということは、入出力が限定化されていくこと。・・・健康な状態というのは、プログラムの編成替えをして常に様々な入出力をしていることなのかもしれません。」(94〜96ページ)