井尻正二『化石』岩波新書、1968年3月

化石 (1968年)(岩波新書)

化石 (1968年)(岩波新書)

■内容【個人的評価:★★★−−】
○1「化石の世界」

  • 化石という言葉の正しい内容は、「大むかしの生物が残していったもの」という以外の何者でもない。石になっていなくてもかまわない。
  • 成田方面には、成田層といわれる四十万年から二十万年前の砂の層があり、貝が出土するが、石にはなっていなくても、これも化石である。
  • ネアンデルタール人クロマニョン人は貝の化石をアクセサリーにしていた。
  • 体部だけでなく、生痕もまた化石である。

○2「化石を追って」

  • 日本における化石の利用は、江戸時代になって本草学が流行を見せたころからである。当時は、薬物として化石を使おうとしていた。
  • 17世紀には、ドイツのヴュルツブルグ大学の教授であったベリンガーがねつ造された太陽の化石などをだまされて収集したりすることもあった。
  • ダヴィンチは、化石により、6000年前に天地創造が行われたというキリスト教の教説を否定している。
  • イギリスのウィリアム・スミス(1769-1839)は、地層累重の法則、化石による地層の同定の法則を確立している。フランスのキュヴィエ(1769-1832)は、科学的な古生物学を築いた。そしてダーウィン(1809-1882)『種の起源』の第10章「生物の地質学的継承について」により古生物学は確立を見た。