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塩野七生『ハンニバル戦記 ローマ人の物語2』新潮社、1993年8月

ローマ人の物語 (2) ハンニバル戦記

ローマ人の物語 (2) ハンニバル戦記

■内容【個人的評価:★★★★−】

  • ローマ人は、今の言葉でいうインフラ整備の重要さに着目した最初の民族ではなかったかと思う。インフラの整備が生産性、生活水準の向上につながっていく。これを本国のみならず属州にも適用していった。
  • 属州の民は収入、収穫の10分の1をローマに納めた。これは別名十分の一税といわれる。しかし、軍役を課せられることはなかった。累進課税の制度もなく一律に十分の一だけを払えばよいとなれば私でも喜んで払う。経費とか所得とか言い始めるから人間は悪知恵を働かせるようになるのである。
  • 古代ローマ人は、国税庁すら民営にしていた。プブリカヌスと呼ばれる、意訳すれば、「公の業務を代行する人」に請け負わせていたのである。
  • ローマ人はマニュアル好きである。細かいことまで規則を定めて実行した。誰がやっても同じ結果を生むためには細部まで決めておく必要があった。
  • 軍役とは、国政参加の権利を持つ自由市民であることの責務以外の何ものでもなかった。
  • ローマに重装歩兵の社会的地位は高かった。国政の最高決定機関である市民集会の過半数を握っていたのが彼らである。最高司令官としての武将の能力は、百人隊長をどれだけ駆使できるかで決まったという。
  • 重装とはいえ、中世の装備からすればよほど軽装である。
  • アレクサンダー大王のもっとも優秀な弟子がハンニバルであるとすれば、そのハンニバルのもっとも優れた弟子はプブリウス・コルネリウススキピオではないか。
  • ローマは、少数指導の寡頭政を採用する共和国である。政策を立てたからといってそれが直ちに実施に結びつく君主政の国ではない。また根回しによる官僚制が完備した国家でもなかった。
  • 他者よりも優れた業績を成し遂げたり有力な地位に昇った人で、嫉妬から無縁で過ごせたものはいない。嫉妬は隠れて機会をうかがう。機会は、相手に少しでも弱点が見えたときだ。