川喜多二郎『発想法−創造性開発のために−』中公新書、1967年2月
- 作者: 川喜田二郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1967/06/26
- メディア: 新書
- 購入: 10人 クリック: 148回
- この商品を含むブログ (75件) を見る
○1「野外科学−現場の科学」
- 発想法とは、アイディアを作り出す方法であり、英語で表記するとアブダクションということになる。インダクション(帰納法)、デダクション(演繹法)とならぶ概念であり、この三分法はアリストテレスがすでに採用している。
- アブダクションはひったくる、かどわかすなどの意味があるが、なにか新しいアイディアを情報群の中から引っ張り出すという意味合いがある。
- 発想法は、科学を書斎科学、実験科学、野外科学に分けると、野外科学に関係が深い。
- 書斎科学は、文献と推論に重きを置いている。実験科学と野外科学は現実の経験と観察に重きを置いている。
- 実験科学と野外科学は類似している面もあるが、実験の場合は疑似的・人工的な自然を作り出すのに対し、野外科学は自然そのものである。
- 実験科学は仮説の検証をするが、野外科学は仮説の発想と結びついている。
- 何か問題があると感じたとき、関係のありそうな事柄をすべて列挙してみてその関係を組み立ててみるのが有効である。そしてその構造を短い一行の文句で表現することである。
- 自分は野外観察するときは記録を後ろに糊のついたカードに記載する。そのうえで整理し清書する。
- 清書したものは、たとえ今自分が死んでもけっして意味を間違えず他人が利用できるようになっていなければならない。
- データの分類でなく統合と構造化がKJ法の神髄である。構造づくりにおいて個別の瑣末と思われる観察記録が大いに意味を持つ。
- 関連があると思われる紙切れどうしをつなぎあわせることで関連が見えてくる。
- KJ法は読書や会議にも応用できる。
- 現実をよく見て全体構造を認識し問題をつかみだす手法としてKJ法を利用してほしい。日本人の心性にも適合した方法である。