宮崎義一『現代の資本主義』岩波新書、1967年5月
- 作者: 宮崎義一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1967
- メディア: 新書
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○第一章「新しい現実、古い神話」
- ケインズ主義は、低開発の問題を解決できない。それは基本的に先進工業国中心の一国資本主義論である。
- アメリカでは合併によってどんどん企業が消滅している。言い換えれば独占が進行している。これには産軍複合体制も寄与している。
- フランス第四の自動車メーカー、シムカ社はひそかにクライスラーにより株式を買い占められ、実権を掌握されてしまった。
- 第三世界は、植民地からは独立したものの、外貨危機と飢餓にあえいでいる。
- とりわけ人口爆発が重なり、食糧危機は一層高まっている。
- 経済援助が行われているが、これは反共ブロック体制強化が目的である。
- ミュルダールは、こうした低開発の問題をとらえ、経済発展の道筋に乗っているのは少数の豊かな国に過ぎないと理論づけた。またジョーン・ロビンソンは、景気変動の問題はまだ解決されておらず、全体としてみた資本主義体制は不況を克服できないでいると赤裸々に暴露した。
- 先進国では、実質賃金率は絶え間なく上昇し、全生産物は賃金に吸収されるだろう。しかし、後進国ではケインズ政策をとっても資本が不足しているため有効ではない。
- なぜ資本蓄積が進まないのか。過去の債務の償還が重くのしかかっているためである。したがって第三世界に発生した利潤は海外に流出してしまう。
- 経済援助は大切だが、経済的独立を脅かすような内容のものであってはならない。外資導入50%超は許可してはならない。