宗像恒次『エイズの常識』講談社現代新書、1993年1月
- 作者: 宗像恒次
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1993/01
- メディア: 新書
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- 最初のエイズ患者は1981年6月、米国で発見された。若い男性同性愛者であった。
- 1986年にウィルスが発見され、HIV(ヒト免疫不全ウィルス)と正式に名付けられた。このウィルスは主として性分泌液(精液、膣分泌液)と血液により感染する。経路は、性感染と注射針の回し打ちがほとんどを占めている。
- われわれの生活する環境にはさまざまな微生物が充満しており、これらから身体を守っているのが免疫系の働きによる。たとえばがん細胞は発がん物質がなくても自然の突然変異で発生するが、免疫系はそれを抑制する力を持っている。
- エイズウィルスは直径1万分の1ミリメートルという非常に小さい粒子であるが、これはT4リンパ球の核に入って自分の遺伝情報をコピーし、エイズウィルスを再生産する。一方でT4リンパ球を破壊するために免疫系全体が力を失っていくことになる。
- エイズの感染源は、血液、性分泌液、母乳の三つである。
- 以前は汚染された血液製剤が感染源となったが、今では熱処理されているためこれにより感染することはない。
- 輸血による感染については、現在献血された血液はHIVの検査をしているので99%ありえない。しかし、検査体制の整っていない国で輸血を受けた場合は、エイズ感染の可能性が十分にある。
- 性交に関していうと、肛門性交は、膣性交に比べ二倍感染しやすい。肛門には大量の抹消血管があるためである。膣性交では粘膜や傷を通して感染する。また、女性が生理中の場合は男性は感染しやすい。オーラルセックス、クンニリングスでも感染する可能性はある。
- もう一つの感染ルートは、母子感染である。
- 唾液による率は低い、蚊やダニを通じた感染はほとんど起こりえない。
- エイズウィルスの感染力はインフルエンザよりはるかに弱い。したがってプールや風呂に一緒に入ったからといって感染するわけではない。
- 現在の感染ルートは、膣性交が70%、肛門性交が10%、血液感染が3〜5%、母子感染5〜10%、薬物注射5〜10%であり、圧倒的に性交によるものが多い。
- 大都市の日本人成人の7%が今までに性感染症と診断を受けたことがあると回答している。そのうち淋病が45%、尿道炎32%、クラミジア12%、陰部ヘルペス8%、梅毒4%である。こうした人はエイズウィルスに感染しやすい。
- 男性で19%、女性で8%が不特定のパートナーとセックスを行っている。とりわけ20〜24歳の男女の性行動は活発である。
- 100%ということではないが、コンドームを使えばほぼエイズを予防できることは間違いのない事実である。