豊田秀樹・前田忠彦・柳井晴夫『原因をさぐる統計学−共分散構造分析入門』講談社、1992年7月
- 作者: 豊田秀樹,前田忠彦,柳井晴夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/07/15
- メディア: 新書
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- われわれは新しい情報を取り入れようと必死になるが、しかしその量が多くなりすぎるとかえって役に立たなくなることがある。
- 社会現象の理解のためには大量の情報から冗長な部分を整理して情報の圧縮を行い、隠れた因果関係を見出すことが必要である。
- 因果関係とは何だろうか。論理学における因果関係とは原因が結果の十分条件であることを意味する。たとえば卵をゆでれば卵は固まるが、強い酸を加えても固まる。つまり、卵が固まるにはゆでる以外にも、いろいろな原因があるということである。しかし、そうした因果関係でなく、統計的な因果関係をここでは取り扱う。
- 統計的な因果関係とは、Aが、Bの一部を説明するための、あるいはBが起きる確率を高めるための十分条件となっている、ことである。
- 統計において因果関係という場合には、「二つの現象の背後に共通の原因となる潜在的な変数を想定できる」、か「二つの現象の間に、一方が原因となり他方を規定している」かのどちらかである。
- 散布図は因果関係を探る際に重要であるが、変数が多くなった場合には散布図を眺めているだけでは進まない。そこで、1変数の分布や2変数の共変動の状況を数値で表現することができる。(数値要約)
- 散布図を用いて相関を解釈する場合、外れ値があるかないか、曲線的な共変関係が観察されるか、グループ分けがきちんと行われているか、ということに注意することが必要である。
- 変数xが変数yの原因とされるためには、
- (a)時間的先行性
- (b)xとyの関連の強さ
- (c)関連の普遍性
- (d)関連の整合性 が必要である。
- これまではいくつかの変数とある一つの変数との間の因果関係を扱ったが、現実の社会は多くの変数に満ちている。そうした多くの変数との間の因果関係を推論する方法を扱いたい。
- 潜在変数として、内容の似通った観測変数をまとめて一つのものとして扱うのである。それが共分散構造モデルである。
- たとえば、肉類や酒類などの摂取を合わせて「洋食傾向」などという変数にまとめる。これをパス図という図式にまとめる。
○第五章「因果システムを鍛える」
○第六章「因果システムを読む」
- 因果関係においては、一方が他方の原因となるばかりでなく逆もまた成立する関係がある。