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別冊宝島『精神病を知る本』宝島社、1986年6月

精神病を知別宝53号 (別冊宝島 53)

精神病を知別宝53号 (別冊宝島 53)

■内容【個人的評価:★★−−−】
○第一部「精神分裂病とは何か?」

  • ミシェル・フーコーによれば、19世紀以前の西欧世界では、狂気にかんする人々の体験はたいへん多様なものであった。それが病い(疾患)という概念に吸収され、また還元されていくのは、近代精神医学という知の体系化の中においてである。西欧中世には、狂気は本質的には、自由な状態で体験されていた。
  • 精神病院に収容されることにより、患者たちの行動と幻想は貧しくなり、はるかに類型化した症状が観察されるようになった。
  • 精神分裂病の発生頻度は、あらゆる時代と国を通じて、ほぼ0.5〜1.0%を前後する一定の値を示している。
  • 柳田国男は『山の人生』の中で、昔の精神錯乱といまの発狂との著しい相違は、本人に対する周囲の態度にあると述べた。

○第二部「精神医療の現場から」
○第三部「精神病院の外部で」

  • 明治17年から20年にかけて、日本の自殺者数は未曾有の増加を見せた。自殺の原因としては精神錯乱によるものが最も多かったとされ、精神錯乱多発の要因は、農村共同体への貨幣経済の浸透、そのことによる共同性の破壊と貧困化であった。柳田国男『山の人生』においても松方財政時に西美濃の山の中で炭を焼く50ばかりの男が子供を二人まさかりで殺した情景が出てくる。そこでは「小屋の口いっぱいに夕日が差し込む」光景が描かれているが、その夕日こそはある格別な境界に迷いこんでしまった人間だけが見ることのできるものであったのだろう。

○第四部「狂気と表現の深部に」
○第五部「「精神医学の知」の外へ」

  • 精神科医は、若いときの方が診断がうまい。中年になると診断の切れ味が悪くなり、かわって患者の生活が見え始める。