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吉田ルイ子『ハーレムの熱い日々』講談社文庫、1979年1月

ハーレムの熱い日々 (1979年) (講談社文庫)

ハーレムの熱い日々 (1979年) (講談社文庫)

■内容【個人的評価:★★★★−】

  • コロンビア大学在学中に、貧民窟といわれるハーレムの125丁目に、やはり学生の白人の夫ともに住むこととなった。
  • 南部の黒人は、白人の残飯を食べていた。白人の食べない内臓などを調理していた。これらがソウル・フードである。手羽先や足は、ダークミートと言われ、白人はきらう。
  • 125丁目がもっとも賑やかになるのは、週末の金曜日から土曜にかけてである。金曜日がペイデイのため、目抜き通りにどっと繰り出す。
  • ブラックモスレムによる運動が活発化し、アメリカ各地の黒人ゲットーで暴動が起こり始めた。指導者はマルコムXである。そして自分は自動車をめちゃくちゃにされ、ハーレムを追われることとなった。そのとき、黒人の見方であると自称していた自分の夫は、「Dirty Nigger」と口汚なくののしった。後に夫と別れることとなるが、この言葉が最後までしこりとなって残った。夫の黒人への優しさは、黒人に対して苦痛を与えてきたことに対し贖罪しなければ、と頭で考えたことにすぎず、心からのものではなかったのだ。
  • 知り合いの黒人女性は、自分が寝込んだとき、大きなお尻をのそのそ動かしながら身の回りのことをなんでもやってくれた。そんな温かさを持った人は白人にはいない。
  • 自分のニューヨーク生活は6年にわたった。アメリカ社会のハイアラーキーは、アングロサクソン系をトップに、フランス系、ドイツ系、アイルランド系、イタリア系、東欧系、ユダヤ系、東洋系、プエルトリコ系、そして黒人系となる。

■読後感
このアメリカの階層性がそのまま描き出されたのが映画『グラン・トリノ』だった。ポーランド系の主人公(クリント・イーストウッド)に、イタリア系(床屋)、アイルランド系(大工)そして東洋系の少数民族の人々である。
よく映画では、黒人を非常にあたたかみのある存在として描き出される。非常によくわかる気がするのだが、これは一体どういうことなのだろう。