勝間和代『まねる力』朝日新聞出版、2009年7月

AERA MOOK 勝間和代「まねる力」

AERA MOOK 勝間和代「まねる力」

■内容【個人的評価:★★★★−】

  • この本は、日本で、世界で活躍する23人から徹底的に「まねる」点を見つける。
  • 自分のコアスキルはこの「まねる力」にあると自負している。
  • まねるプロセスは下の五つに分解できる。
    • 1.何をまねたいのかを決める
    • 2.その最高のモデルを探す
    • 3.直接対話したり本を読んだりしてエッセンスを手に入れる
    • 4.これをもとに自分で再現、体験する
    • 5.学んだ内容をいつでも思い出し、利用可能な状態にしておく
  • 本を書くコツは『林真理子文章読本』、山田ズーニーさんの『伝わる・揺さぶる!文章を書く』を読んだ。

酒井雄哉比叡山住職)との対話

  • 実践するしかない。文字でわかったとしても、実践がない文字だったら何にもならない。体験して消化していかなければならない。

福岡伸一分子生物学者)との対話

  • 人間は、生物学的にはほかの生物とそれほど違いはない。子孫を残すことが生物の目的であるが、レイジー(怠惰)を求めるという側面もある。
  • 効率を求めても、ずっと上がり続けるわけではない。長い時間軸でみると効果はトントンなのではないか。
  • 多くの人は、効率化で安逸な時間ができれば、無為に過ごすしかない。
  • われわれは不足に対しては敏感だが、過剰に対しては無防備でリミッターがない。お金も必要以上に貯めすぎてしまっている。
  • 個人が効率を求めるのは良いが、それが他人と比べられ、組織に利用されるようになってきている。
  • 好きなことをやるために「ToDo」と「NotToDo」リストで整理する必要が出てくるだろう。

姜尚中との対話

  • 働くこと以外の目的や価値観が希薄になっている。
  • 悩み、自殺する人が高止まりしているが、そうではなく、「健全な懐疑」をする精神を養いたい。
  • 考えるのは大切だが、それがモノローグになってしまっては危険である。
  • 私たちは、どこかに正解があり、その正解にたどり着かないと不安になりがちだが、姜さんは、悩むこと、考えること、身体感覚で感じることが生き方であるとしている。

○イネス・リグロン(ミス・ユニバース・ジャパン ナショナル・ディレクター)との対話

  • 洋服でなく身体をコントロールすることが大切。洋服をできるだけ着こまないようにしたい。そして体形に注意を払ってほしい。

○渡邉美樹(ワタミ会長)との対話

  • 給料以上に資源をもらっている高齢層が多くなりすぎ、すべてが保守化している。
  • 渡邉さんは、このような理想形があるはず、と思うと愚直なまでにそれを追求する。政府や従業員のせいにしたりしない。

佐藤優(作家、起訴休職外務事務官)との対話

  • 小さな政府という議論自体がナンセンス。近代国家は大きな政府とならざるを得ない。ローマ帝国の税金では現代の政府は成り立たない。

蒲島郁夫熊本県知事)との対話

  • ホームページにマニフェストの進捗をきっちり公表している。
  • いまは月給24万円、手取り14万円でやりくりしている。
  • 月給カットは自分の判断だけでできるが、ダム問題や財政再建水俣病問題など相手があることは難しい。
  • ローマ時代から現代までの政治を学んだから多くの決断のケーススタディをしている。
  • かつて、田中康夫長野県知事が県議会とこじれた原因を革命家から説得・調整能力に優れた政治家へと転身できなかったため、とした。
  • 私は、個人プレーではなくて、自分がいなくなっても繁栄が続くようなシステム、方向性を確立したい。

湯浅誠反貧困ネットワーク事務局長、年越し派遣村村長)

長妻昭民主党政策調査会長代理)との対話

  • 官僚がすべてを決め、政治家はその微調整をするという関係になっている。
  • 公務員批判が多いが、信頼度調査をみる限り、公務員の方が政治家よりましである。

まつもとゆきひろプログラミング言語Ruby」開発者)との対話

  • 海外の企業では、競争力の根源であるITシステムを内製している会社が多いけど、日本の会社は外部のベンダーに任せっきり。コンピュータは分からないというバリアを張ってしまう。

山中俊治プロダクトデザイナー)との対話

  • 安全や機能やコスト、美しさなどの最高のバランスを考え、各条件を満たすことがデザインの一番よくできているもの。
  • 今必要なのは、どれだけ余分なものをそぎ落としてユーザーがほしいものだけを見せてあげられるか、である。
  • 失われた十年の中で、ブランドに頼るのでなく、自分の目利きで高級品を買えるようになってきた。
  • 最適化されたものに対して美を感じる感性がどこかにある。(柳宗悦は「用の美」を唱え、市井の職人が生み出す実用品に革新的な美を見いだした。)
  • 「デザインの骨格」というブログを作っている。

○「広瀬香美さんをまねる声の力」

  • 声の通り道をつなげる三つのポイントがある。
    • 1.腹式呼吸
    • 2.のどの上におなかから出た息を当てる
    • 3.その息を鼻から集中して出す
  • いい声の出し方は英語の発声と似ている。