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佐々木陽一郎「坂井州二著『年貢を納めていた人々−西洋近世農民の暮し』」(『千葉大学経済研究』第1巻第2号)千葉大学経済研究基金、1987年1月

■内容【個人的評価:(対象外)】

  • 日本近世経済史は、さまざまな第一次史料を材料として、町民や農民の実態を明らかにする研究を行い実り多い結果を生み出している。しかし、町民や農民について、生産者としての立場でとらえられ、具体性は抽象化に埋没してしまっている。
  • 城壁で囲まれたヨーロッパの町と日本の町の比較から始まっており、ヨーロッパは日本と異なり、武家屋敷がなく、市役所と代表的商人の屋敷が取り囲む広場が中心にあり、自衛権も町人にある。
  • 日本は、鎖国時代、さまざまな禁止令により平和を維持した。大船の建造、キリスト教、ぜいたく品の禁止など、世界史に類をみない禁止令多発国家であった。
  • 当時のヨーロッパの農民は日本に比べれば自治的ではあるが、年貢の負担は日本と同じ4割であった。また、他国、自国の軍隊が通行することによる物的損害も大きい。
  • ヨーロッパの下町一体の汚染度は極端であり、日本の清潔度は数段勝っている。
  • ヨーロッパでは一段となって農耕を行う。日本は水田の水の調節のとき、わずかに共同作業を行う。
  • ヨーロッパでは畜力を活用していたが日本ではほとんど利用していない。牧草地にする土地がなかった。
  • 徳川政権の禁令は予防的ではなく、禁令的なものだった。また、85%の税率などが課されていたというのは信じられないことであり、その点はこの著作の問題点として残る。