佐々木陽一郎「人口移動とその要因−飛騨国と高山の実例−」(『千葉大学経済研究』第2巻第2号)1988年2月

■内容【個人的評価:(対象外)】

  • 前近代社会において農村からの恒常的な人口流入が都市人口を支えてきたのは周知の事実であるが、これは、農村の過剰人口によるものなのか、それとも都市の人口再生産能力の欠如によるものなのか。
  • 『飛騨後風土記』に記された明治初年の飛騨国の概況を見ると、前近代経済社会の経済基盤である農業には不適当な地勢であったことがわかる。年々他国から食料を購入していた。
  • 非農業生産物のウェイトが高いが、これはこの地域が経済的に進んだ地域であることを意味するものではない。
  • 移入人口と距離は相関係数-0.78の逆相関となる。一方移入人口と一人当たり農産物の関係を見ると、相関係数0.82で正相関となる。
  • ここからみると、距離が離れるほど移入人口は少なくなるが、都市への移住は所得水準の高い地域ほど多いということがわかる。これは姻戚関係を結んでの流入であることと関係がある。