宮崎義一『世界経済をどう見るか』岩波新書、1986年7月
- 作者: 宮崎義一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/07/21
- メディア: 新書
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○プロローグ「いまなぜ世界経済なのか」○1「新しい世界不況−なぜケインズ主義は有効性を失ったのか」
- 先進国も二極分化している。1973年の第一次石油危機により、先進国にはインフレーション、不況、経常収支の赤字というトリレンマを抱えることになった。先進国のうち、日本、アメリカ、西ドイツは1976年ころから一応脱出したが、イギリス、フランス、イタリアは1978年まで脱出することができなかった。
- 第一次石油危機は、たしかに先進工業国に対して深刻な打撃を与え、またスペンディング・ポリシーの内需拡大効果もむなしいものであった。
- 高所得国の内部では、高額所得層の占める比率が低くなっているのに対し、低所得国では、逆に富が一部の高額所得層に偏在している。
- 絶対的貧困(マクナマラ)という言葉がある。人間としての条件に関するどのような妥当な定義に照らしてみても、程遠い栄養不良、文盲、疾病、高い幼児死亡率、短い平均寿命などである。それは低所得国の8億人の人々がこのような状態にあると予想される。
- アメリカの対外債務はほとんどドル建てである。このため、ブラジル、メキシコのように債務支払い不能に陥る可能性は低い。
- 石油価格の下落が引き金となり、大規模なオイルダラー還流現象がはじまると、戦後最大のデフレーションに陥る恐れが多い。
- 青い地球の荒廃阻止、核戦争の阻止、こうしたもののうえに世界経済の未来像が描かれるべきであろう。