中村保男『名訳と誤訳』講談社現代新書、1989年2月

名訳と誤訳 (講談社現代新書)

名訳と誤訳 (講談社現代新書)

■内容【個人的評価:★★★−−】
○1「翻訳とはなにか」

  • 翻訳という作業は二つの過程に分けることができる。一つは原文理解、もうひとつは日本語による表現し直しである。

○2「名訳の森」

  • 名訳の条件とは、美しくてしかも忠実な翻訳である。つい原文に引きずられて下手な直訳調の訳文を書いてしまいそうな自分をたえず監視し、正しい原文理解のうえに立った適語適所の再表現を心掛けること、それが名訳を生み出すための条件なのだ。
  • まず第一に名訳は訳文に苦労の跡が見えるようではいけない。第二に、筋が通っていなくてはならない。

○3「誤訳の森」

  • 少しでも怪しいなと思ったら辞書を引くのが鉄則である。
  • 誤訳は、自分の訳文を読み返すときに、論理の筋または話の筋がすっきり通っていない個所に出くわしたら、徹底的にその撞着の原因をつきとめることで誤訳を訂正できる場合が多い。