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城山三郎『人生の流儀』新潮文庫、1992年4月

人生の流儀 (新潮文庫)

人生の流儀 (新潮文庫)

■内容【個人的評価:★★★★−】
○1章「サラリーマンの世界」

  • サラリーマン社会で、人の心をつなぎとめるものは、やはり、人の心である。
  • 彼が頭の中に描いていた出世とは、個人的にはあまり報われることのない馬車馬の道であった。果てにあるものは、重責と激務と孤独。クラブを振ろうと、女と騒ごうと、人生の楽しみにどっしりつけ加わるものががあろうとは思われなかった。
  • 好むと好まざるにかかわらず、これからは会社人間の時代ではない。プライベイトな部分をむしろ互いに大切にする世になる。そうした部下をいかにして統率できるかということこそ、今後のミドルの課題である。
  • シンボリック・マネジャーにはどういう人がふさわしいのか。
    • 1.人間通であること。人間に興味を持ち、じっくり観察できる人。他人のいうことをよく聞くひと。
    • 2.忍耐づよい人。
    • 3.淡々たる人柄であること。
  • 企業の未来は、細分化などの動きから、いよいよ目に見えない絆の強さを必要としている。その意味でも企業の文化を体現させるシンボリック・マネジャーが合理的管理者以上に必要となる。
  • 新入社員を迎えるたびに、しゃんとしなければならないのは、古参社員の方である。新入者の初心を前に粛然と姿勢をただすべきである。新入社員教育は、新入社員の入社ごとに、古参社員が受けるべきである。
  • このごろしみじみ思うんだが、経営者なんて要するに体力の問題だな。経営者に限らず、人生そのものが最後は体力で決まるかも知れんな。
  • 会社が大きくなればなるほど、分業が進み、その仕事に夢中で打ち込んでいればいるほど会社の危機に気づかぬ場合が多い。
  • 千差万別の社員を率い、その能力を個別に開花させながら、長い目で一大戦力にまとめ上げていく−経営者とは、そうした壮大にして地道な苦役の遂行者でなくてはならぬ。
  • 現場にはあらゆる人生の材料が転がっている。その中から、自分で問題をつかみ、その問題を広げ、深めていくことである。
  • 中小企業は無い無いづくしである。組織もなければ金もない。伝統もなければ信用もない。・・・網目のような人脈をつくって、金や知恵や信用や手を貸してくれる人、心の支えになってくれる味方を一人でも多く持つことである。
  • 窓際族についても、当人は追われたつもりかも知れぬが、少し視野を広げてみれば、余裕のある恵まれた場所である。
  • みんな上昇志向を持っていた時期のマネジャーの仕事は非常にやさしかった。だからみんながマネジャーになりたがった。これからはそういうそれほどやる気の無い集団をどう引っ張っていくか。そのためには課長なり係長なりを務めるものはものすごく大変な仕事、大変な苦労がいる。
  • ベンチャービジネスの経営者の一部には、自分が新しい事業を始めただけに人の能力を低くみる傾向がある。破たんしたベンチャービジネスの経営者に、理由を一言で聞いたところ、自分が全部見ておかなかったからだ、という回答であった。逆であり、本来社長は会社が大きくなるにつれ努めて身軽になっていかないとだめである。
  • サラリーマン社会は、人間関係で仕事をするんだという、そのことを根底から理解しておかないと、自分の限界がすぐ出てくる。
  • 日本の柱たらんことをめざしてひたむきに前向きに生きようとする男の姿はあざやかでありさわやかでさえある。志とか気概とかが男を美しくする。