伊集院静『大人の流儀』講談社、2011年3月

大人の流儀

大人の流儀

■内容【個人的評価:★★★−−】

  • 言い方に気を配る必要などさらさらありません。あなたの言葉で、ダメなものはダメと言いなさい。
  • 私は、人が社会を知る、学ぶ上でのいくつかの条件のひとつは、理不尽がまかり通るのが世の中だということを早いうちに身体に叩き込むことだと思っている。
  • なぜしかると身に付くか、叱られたときは誰も辛いからである。
  • 人間は強くて、弱い生き物だ。そんなとき、酒は友となる。
  • ギャンブラーってのは日本で三流、五流の一番の馬鹿ってことです。ギャンブラーはいっさい他人のためには生きません。初めっから死ぬまで自分さえよければいいんですよ。どう考えても最低でしょう。無駄です。
  • 私はこれまでほとんど食の話を書いたことがなかった。それは食の話は、どう書いても卑しくなるからである。
  • なぜ大勢の人がその類いの店に走るのか?それは田舎の人は店を知らないからである。詳しく書けば、世間を、都会を知らない人である。そういう人は飯屋を探す時間と勘を持たない人である。
  • 自慢話というのは、百に一つくらいは面白いものがあるかもしれないが、やはり程度の悪い会話だ。食通と言われる人の食の語りにはこれと似たところがある。
  • 友が招かれた立場か、招いた立場かは知らないが、大人の男には身なりをただして赴かなくてはならない席、場所がある。身嗜みでまず必要なのは体調だ。顔色からしてそうなのだから、自分の五体を整えなければならない。

■読後感
言っていることもいろいろ矛盾はあるが、著者の人物像、街を歩いている姿、飲んでいる姿、麻雀を打っている姿がありありと目に見えるようだ。
こうした大人、昔はいたか。今は多くの高齢者がチェーン居酒屋で品の無い話をしているが。