伊藤元規、榎並利博、高地圭輔『自治体クラウド』学陽書房、2011年9月
- 作者: 伊藤元規,榎並 利博,高地圭輔
- 出版社/メーカー: 学陽書房
- 発売日: 2011/09
- メディア: 単行本
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- 米国国立標準技術研究所による専門的な定義を引用すれば、「クラウドコンピューティングとは、ユーザにとって最小限の管理労力、あるいはサービス提供者とのやり取りで、迅速に利用開始あるいは利用解除できる構成変更可能な計算機要素からなる共有資源にたいして簡便かつ要求に即応できるネットワークアクセスを可能にするモデルである」ということになる。
- 技術の進歩は、インターネットを情報の発信やコミュニケーションという枠の中に閉じ込めることなく、それまでのメインフレームやクライアント・サーバが得意であったトランザクション型の情報処理の世界へと進出させたのである。
- クラウドを採用するメリットは以下のとおり。
- ・ハード・ソフトのシステム導入やアプリケーション開発などの期間が短縮されるため、短期間でサービスを提供できる。
- ・ハード・ソフトのシステム導入による初期コスト、アプリケーション開発及び運用コストを低く抑えることができる。
- ・ハード・ソフトのシステム導入、アプリケーション開発・運用に関する専門知識がなくても、サービスを提供できる。
- ・自前でコンピュータシステムを運用管理するよりも、情報システム全体のセキュリティ・レベルが向上する。
- ・サービスの需要変動に対して柔軟に対応できる。
- クラウドの種類
- ・SaaS:このサービスは利用者がシステム開発をすることなく、そのまま業務アプリケーションを利用することができる。(Gmail、Googleカレンダー、SNS、ブログなど)
- ・PaaS:アプリケーションは利用者が自分で開発しなければならない。(Google App Engineなど)
- ・IaaS:サーバやネットワークなど物理的なインフラを提供するサービス。(Amazon EC2など)
- クラウドの課題
- ・柔軟なカスタマイズと既存システムとの連携
- ・信頼性・安全性の確保
- ・法的な保護
○第五章「自治体クラウド実践への手順」
■読後感
クラウドの利用を本県では電子調達・電子申請で利用しているわけだが、本来こうしたサービスを含め一般の事務処理はどの自治体においても同じ仕組みで運用されるのが望ましい。
こうした技術を積極的に利用すべきだが、まだコストは高く、一方でインターフェースは十分に利用しやすい仕組みになっているとは言いがたい。
本来は自治体間でなく国が提供してもよいのではないか。システムについてあれこれ各自治体が悩むこと自体がどうなのかという印象である。もっと注力すべきことがあるはずだ。