増田若奈『図解ネットワークのしくみ』ディー・アート、2002年1月

図解 ネットワークのしくみ

図解 ネットワークのしくみ

■内容
○第一章「ネットワークの全体像」

  • TCP/IPプロトコル群におけるコンピュータに付ける固有の名前:IPアドレス
  • サーバ:基本的には皆さんがお使いのコンピュータと同じ。ただし、サーバは多くのクライアントにサービスを提供する役割をもっているため、安定性を重視したサーバ用のOSを採用するのが一般的。
  • クライアントからの要求を素早く処理するために、サーバとして使うコンピュータのSPECにも気を使う必要がある。プリンタサーバのように古いコンピュータでも十分に機能するサーバもある。
  • internet の頭文字を大文字にしたInternet はTCP/IPプロトコル群を採用したものを意味する。

○第二章「ネットワークに接続するしくみ」

  • インターネットを利用するために必要となるもの
    • インターネット用のサーバ
    • 物理的な接続
    • IPアドレス
  • このうち、サーバやIPアドレスを取得するのは技術や手間がかかるためプロバイダ契約でこれを利用する。
  • 一秒間に送ることのできるデータの量が多いことを通信速度が速いといい、少ないことを遅いという。実際の到達スピードは、同じプロトコルであれば早い回線も遅い回線も変わらない。
  • ブロードバンドとは、広帯域を意味する。帯域とは周波数帯域のこと。周波数とは電波や音波の1秒間の繰り返し数である。この帯域が広いと、一度に多くのデータを送ることができる。
  • ADSLは、上りが遅く、下りが速い(もともとDSLは、電話回線の使っていない周波数帯域を利用してデータ伝送を行う方式。AはAsymmetric、つまり上りは遅いが下りが速いという非対称を意味している。)
  • ADSLは、収容局までの電話ケーブルの長さによってスピードが変わり、これが長いと信号の減衰により遅くなる。減衰すると、再度コンピュータにたいしてリクエストがかかり、結果として必要なデータが揃うまで時間がかかってしまう。
  • また、電話回線をCS/BSデジタル放送の双方向サービスに利用する家庭ではさらに干渉を受けて通信速度が遅くなる場合がある。
  • すでに機能しているLANにクライアントとして参加する場合は、コンピュータにネットワークインターフェースカード(NIC)を装備し、ケーブルで接続します。
  • ケーブルはクライアント/サーバ方式であればストレートケーブル、ピア・ツー・ピア方式であればクロスケーブルを利用します。
  • コンピュータウィルスは、ワーム(単独のファイルとして行動し、ネットワークを介して自分自身のコピーを広げる)、トロイの木馬(ダウンロードして実行すると悪さをする)
  • コンピュータウィルスが与える被害は、画面に文字や画像が表示されるだけのイタズラ程度のものから、ハードディスクに保存されているデータを破壊してしまう悪質なものもある。
  • 正規のユーザーでない人間がネットワーク内に不正に侵入し、ネットワークにつながっているコンピュータのデータを盗んだり、破壊したりすることを、クラッキングまたは不正侵入と呼びます。
  • コンピュータウィルスやクラッキングの被害を防止するにはセキュリティソフトを利用します。
  • クラッキングについては、コンピュータと回線の間にルータという機器をはさむことによって防ぐこともできますが、ルータがない場合は、クラッキングを阻止するファイアウォール機能を持ったセキュリティソフトを利用しましょう。

○第三章「ネットワークでデータをやり取りするしくみ」

  • さまざまなメーカーがメールソフトを開発していますが、どれを使ってもちゃんとメールのやり取りができるのは、同じプロトコルを採用しているからです。
  • ドメイン名とは人間が覚えやすいようにIPアドレスを置き換えたもので、例えば「www.xxx.co.jp」がドメイン名となる。
  • ルーティングとは、異なるネットワークに属するコンピュータ同士でデータのやり取りを行うときに、どのような道筋でデータを送ればいいのかを決める技術です。そして、ルーティングの機能を持った機器やコンピュータをルータと呼びます。

○第四章「インターネット上のサービスを支える技術」

  • Webページを見るまでのデータの流れ
    • (1)URLを指定(自分のパソコンから)
    • (2)ドメイン名に対応するIPアドレスDNSサーバに問い合わせる
    • (3)Webサーバへファイルを要求
    • (4)ファイルが送られる
  • TCP/IPプロトコル群を採用したネットワークでは、SMTPサーバとPOP3サーバがメールサービスを提供しています。この二種類のサーバを総称してメールサーバと呼んでいます。
  • SMTPサーバはデータを相手先の私書箱に届ける配達サービス部門、POP3サーバはユーザに対応する受付係となります。私書箱のことをメールボックスと呼びます。
  • メールをやり取りするしくみ
    • (1)クライアント:メールサーバにメールデータを送信
    • (2)メールサーバ:受け取ったメールデータを宛先のメールサーバへ送信
    • (3)相手先のメールサーバ:メールデータをメールボックスに保存
    • (4)相手先のクライアント:メールボックスからメールデータを受信
  • FTPサービスは、FTPサーバとクライアント間でFTPプロトコルを使ってデータをやりとりするサービスです。
  • 一般的なインターネットのサービスはクライアント/サーバ方式をとっています。クライアント/サーバ方式とは、サービスを提供するサーバと、サービスを受けるクライアントという役割に分かれている方式です。WWWやメールはクライアント/サーバ方式のサービスです。
  • しかし、サーバが存在せず、お互いのコンピュータがサービスを提供しあうピア・ツー・ピア方式をとるサービスもあります。これを、P2Pサービスと呼びます。P2Pサービスの代表的なものは、ファイル交換サービスとインスタントメッセンジャーサービスです。インスタントメッセンジャーサービスは、チャットサービスとも言います。
  • 一般加入電話で電話をかける場合、まず、電話機から最寄りの電話局の交換機に接続します。そこから、いくつかの交換機を経由して相手の最寄りの電話局の交換機に接続し、最終的に相手の電話機に接続して通話します。使用した交換機の数に応じて料金が加算されるため、長距離であるほど多くの交換機を経由することになり、料金も高くなります。IP電話は、交換機から交換機へ接続している途中の道筋をIPネットワークにすることで、使用する交換機の数を減らしています。
  • インターネットで配信される動画コンテンツの多くが、ストリーミングという技術を利用しています。ストリーミングとは、ファイルを丸ごとダウンロードしてから再生するのではなく、ダウンロードした分のデータをその場でどんどん再生していく技術です。

○第五章「LAN独自のしくみ」

○第六章「ネットワークを管理・利用するためのしくみ」

  • Webサーバは、HTTPプロトコルを利用してクライアントに要求されたデータを送る機能を持ったサーバです。
  • WWWサービスを提供するWebサーバ側には、Webサーバソフトが必要です。UNIX系のOSでは「Apache」というフリーソフトがよく使われています。Windows OSでは、「IIS」というサーバソフトがよく使われています。

■読後感
毎日のようにメールやWEBを利用しているわけだが、肝心のしくみについてはわかっているようでいてわかっていない人が多いのではないか。
この本はそうしたわかったようでわかっていない部分をわかりやすく伝えている。
また、触れている範囲も極めて広く、この一冊でほぼ全体像を把握することができる。
それにしても、こうしたコンピュータ本の筆者が女性が多いのは一つの戦略か?(邪推)