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百田尚樹『モンスター』幻冬舎文庫、2012年4月

モンスター (幻冬舎文庫)

モンスター (幻冬舎文庫)

■内容
幼い頃から成人するまで、その容貌に強いコンプレックスを抱え、周囲からも冷たい仕打ちを受け続けた女性の話。
整形によって「美」を手に入れた主人公の未帆=和子は、数多くの男性から慕われるようになるが、そんな経験を積むごとに、自分が思い描き、憧れていた恋愛と実際の恋愛は違うということがわかる。失望しつつも手練手管は身に付けて男性を翻弄し、自分を冷たくあしらってきた人々へ復讐を果たしていく。

■読後感
女性は、男性に比べ美という尺度で見られることが多いため、とくにこの本でテーマとなる「顔」については、生きている限り意識せざるをえないところがある。

思えば、それぞれの人間に個性はあっても、性にかかわることは、ある意味人間の根源的な部分でもあるから、人のふるまいはステロタイプ化されてくるのは当然かもしれない。

「恐ろしいほどの作り上げられた美人」というものがこの作品の主人公だけれど、そうでない人々の間でもそんな比較が日常的にあり、ヒエラルキーを作っているのは事実かもしれない。もっとも、それは性と密接に関連しているので、ある程度の年齢を越えると少し薄らいでいくものなのか。