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平川克美『経済成長という病』講談社現代新書、2009年4月

経済成長という病 (講談社現代新書)

経済成長という病 (講談社現代新書)

■内容【個人的評価:★★−−−】
○序章「私たちもまた加担者であった」
○第一章「経済成長という神話の終焉」

  • 私の印象をひとことでいうなら、この国(アメリカ)には「基底」がないということであった。「基底」とは、ひとつの社会が長い歴史のなかで培ってきた、人間が生きていくための温床のようなものだと思ってもらいたい。
  • そして、手に入れた新しい社会は、家と家の間の広すぎる空間や高すぎる塀、広すぎる道路によって、共同体的なつながりが分断され、人間の生態と乖離したモダンな都市であった。
  • 人間の社会は、まだら模様に近代化へ向かって前進している。そしてこの前進は、収斂に向かっている。これがトッドが最初に提示する仮説である。

○第二章「溶解する商の倫理」

  • むしろ縮小均衡すれば、共同体全体としては落ち着いて、地に足の着いた循環系の経済が根付く可能性がある。
  • 私は何度もいっているし、本にも書いたが、ビジネスの本質とは商品を媒介した交通が原則だと思っている。

○第三章「経済成長という病が作り出した風景」

■読後感
経済成長=病というテーマの本だが、全体としては近年の経済事象やさまざまな事件などを題材にした所感をまとめたエッセイという体裁だった。

著者は、ギャンブルとしての金融経済と実物のやり取りを伴う経済を分け、後者を中心にしたまっとうな経済活動を組み立てるべきだと主張している。また、これは経済が縮小するなかで実現しやすくなるのではないかとも述べている。

お金については、交換手段でもあり、蓄蔵手段でもあるところが厄介なところで、ギャンブル資本主義のツケはかならず実物経済にも影響を与える。

この暴走を止めるには、金融経済にかかる大幅な規制強化を行い、いわゆるギャンブル的な動きを全体として停止させるしかないように思われる。