有川浩『阪急電車』幻冬舎文庫、2010年8月

阪急電車 (幻冬舎文庫)

阪急電車 (幻冬舎文庫)

■内容
阪急電車今津線にたまたま乗り合わせた人々の、電車のなかでのちょっとした「事件」を題材に、それぞれの人々が生きるなかで抱える悩みやいさかいなどを相互にオーバーラップさせながらストーリー展開する。

■読後感
人々はそれぞれの人生の何気ない一瞬として電車という公共の場に乗り込む。ただ、彼ら一人びとりは、それぞれに何らかのエピソードを抱えており、それが電車という場で交錯し合う。

「電車の座席を理不尽な方法で占拠してしまう」といったこともそれにつながる一定の背景があったりして、事の理非は単純に判断できなかったりもする。

人のふるまいというものは自分で省みるときと人から見られるときでは大きく異なっているということを気づかせてくれる。