結城未来(2006)『頭がよくなる照明術』PHP新書

頭がよくなる照明術 (PHP新書)

頭がよくなる照明術 (PHP新書)

■内容【個人的評価:★★★★−】

◇光が与える人間の行動への影響−青白い光とオレンジ色の光−

  • 昼の太陽光のような「青白い光」を頭の上から浴びると”活動的”に 夕焼けのような「オレンジ色の光」を低い位置から浴びると”くつろぎモード”に
  • 日本にやってきた欧米人に日本の印象を尋ねると、ほとんどが「人は優しいし食べ物はおいしいし、最高!でも、照明だけは我慢ができない」と口をそろえて答えます。(10ページ)

■コメント「活動するときの光と、くつろぐときの光は違って然るべきという著者の主張そのもの。たしかにヨーロッパにおける室内の光はわれわれにとっては暗めに感じることが多く違和感を感じるものだが、生態としての人間にとって良い部分もある。」


◇待庵に見る茶室の窓の効用

  • 現在、国宝に指定されている日本最古の茶室建造物、京都の「待庵」は千利休独特の構想で建てられたもので、広さは二畳。躙口(にじりぐち)という狭く小さな出入ロを含めれば、連子窓、格子窓など三つも窓があります。茶室に窓がつけられたのは、この待庵が最初だそうです。窓の高さをズラし、天井には変化をつけ、四面は壁という不思議な構造。これは、利休が自然光の反射を強く意識したため。部屋に方向性をつけず、外光を散らすデザインなのです。(60ページ)

■コメント「茶室はとても狭い空間だが落ち着きがある。実用性という観点ばかりだとあのような部屋を作る発想が出てこない。茶室を構成している要素をよく観察すると参考になる部分が多くある。」


◇障子は間接照明の役割を果たす

  • 和室の魅力を大きく左右しているのが障子です。いわば障子は究極の照明器具。(63ページ)

■コメント「障子を通した光の柔らかさは独特の落ち着きがある。光を散らし、和らげる効果が意識せずに備わっているもので、間接照明に近い効果をもたらしている。」


◇午前と午後の脳の働きの違い

  • 昼休みは昼寝。午後の仕事始めには太陽の光で覚醒。これで午後の脳が働きやすくなります。午後は夜のリズムが始まるとき。午後のリズムは、”身体を動かす脳”のリズム・体温も上昇していて、午後四時くらいが最高になります。つまり、午後は身体と脳がスポーツに向いている”筋肉脳”なのです。(91ページ)

■コメント「昼寝なんてなんでするのだろうと思っていたが、自分でそれを行ってみるとリセットできる効果の大きさを実感する。会議は午前中、ある程度処理に近い仕事は午後に、という使い分けには一定の合理性がある。」


◇光のパターンと睡眠に与える影響

  • いくつかのパターンを想定して実験したなかで、就寝二時間前に蛍光灯の昼光色(青白い光)と電球色(オレンジ色)で過ごした場合のそれぞれの睡眠の深さを測りました。するとグラフのように、(七時間睡眠で眠りはじめの三時間半のあいだに出現する)深い眠りの長さが、蛍光灯の昼光色よりも電球色で眠る前に過ごしたほうが長いことがわかったのです。(124ページ)

■コメント「就寝前にどのような光を浴びるかということは睡眠の質そのものに大きな影響を与えるポイントである。オレンジ色の光を特に夜間に意識して用いることが大切。」