辻太一朗(2007)『採用力のある面接:ダメな面接官は学生を逃がす』生活人新書

採用力のある面接―ダメな面接官は学生を逃がす (生活人新書)

採用力のある面接―ダメな面接官は学生を逃がす (生活人新書)

■内容【個人的評価:★★−−−】

◇働く動機は今や「生活のため」というより「認められたいため」

  • 働く側で言うと、単純に生活のために働くだけではなく、「仕事を通して認められたい」とか、「仕事で自分の力を伸ばしたい」といった点を重視するようになったという、仕事に対する期待に変化があります。(12ページ)
  • 学生が欲しているのは、自分を理解してもらったんだという感覚です。たとえば面接官が話しやすい人で、言いたいことがちゃんと言える場だったのかが重要です。面接の場で自分が出せると、最終的に落とされたとしてもめげないと、彼らは言います。わかってもらった上で、「当社にはあなたは合わない」と判断されたならしょうがない、というわけです。納得できるし、その後もいい会社だと評価する傾向にあります。学生たちが悔しいのは自分のことがちゃんと出せなかった面接です。(50ページ)


◇面接を行う側の態勢について

  • たとえば面接官の目の前にテーブルを置き、そのずっと向こうに学生を座らせるケースがあります。私から言わせると、なぜそんなに距離感を感じさせるようなことをするのか、意味がわかりません。学生は遠く離れて一対一で相対することになります。威圧感を感じるし、どこを見ていいのかわかりません。(44ページ)
  • 理想は一対一の面接です。ただし一対一に関しては、面接官の面接スキルが高くないと難しいところがあります。共感を得られる質問をしていくことは重要ですが、面接官は同時にその人の見極めもしていかなければなりません。自分で質問をしながら判断をするのは、難しいものです。難しい場合は二対一にして、ひとりが中心になって質問をし、もうひとりが判断をするというやり方も考えられます。(45ページ)


◇面接では相手が心を開いて語ってもらうことが基本

  • 場作りの基本は、まず最初は自己開示からです。相手が部屋に入ってきたら、「こんにちは、辻と言います」とこちらから名乗る。自己開示するのです。名前を聞くだけでも相手に安心感が生まれます。(61ページ)
  • 情報や伝達を重視したトークという意味です。私の場合はラポートトークを「場作りのための会話」というふうにとらえています。面接というある意味で公式の場で、あったらいいなと思うのは「感謝」と「自己開示」の二つです。多少の「振り」と言ってもいいかもしれませんが、部屋に入ってから三○秒ぐらいの間に交わされる会話です。(109ページ)
  • ラポートトークというのは相槌、確認・要約、そして感想の三つです。この三つによって、会話型面接の基本的な場作りができます。(113〜114ページ)

■読後感
リクルートで1万人以上の学生を面接した経歴を持つ筆者は、面接では通り一遍のやり取りではなく、ある程度信頼に裏付けられた会話、本音の引き出し、評価が必要であるとしている。
たしかに、きちんと本音を引き出して人物をとらえないと、後々の組織における支障になりかねない。
また、面接官自身が魅力ある人間でなければならないというのはそのとおりと感じる。