E.J.ホブズボーム(1981)『資本の時代 1848〜1875』みすず書房
- 作者: E.J.ホブズボーム,E.J. Hobsbawm,松尾太郎,山崎清
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1982/02
- メディア: 単行本
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○第十章「土地」
- 人口移動と工業化は同時に進行する。世界的な近代経済の発展が人々の大規模な移動を要求し、新しく改良された交通機関によってそのことが技術的に容易に、そしてより安価になったからである。そして、もちろんのこと、近代経済の世界的な発展がさらにより多くの人口を維持することを可能にしたからである。」(274ページ)
- 大衆の日帰り旅行は、汽船遊覧を除けば、1850年代に、もっと正確に言えば、1851年の大博覧会によって産み出されたものである。大博覧会に出品された逸品を見ようと非常に多数の人々がロンドンを訪れた。(287〜8ページ)
- 工業化以前に有名であった古い都市のほとんどが、新しい種類の生産を引きつけなかった。したがって、典型的な新しい工業地帯は、いくつかの村落が融合して小さな町になり、さらにそれが大きな町に発展するといった形態をとって徐々に形成されたのである。(297ページ)
- ロシアにとっては、この時代は輝かしい成果をおさめた時代である。自然科学、社会科学は言うまでもなく、音楽、とりわけ文学においても優れた作品が産み出された。ドストエフスキー、トルストイ、チヤイコフスキー、ムソルグスキー、それに古典的帝室バレエがそろって最盛期に入った1870年代のごときは、それに匹敵する時代を見いだすことが出来ないほどである。すでに見たように、フランスとイギリスは、きわめてすぐれた水準を維持していた。後者は主として散文文学で、前者は絵画と詩においてすぐれていた。アメリカ合衆国は、視覚芸術やインテリ向けの音楽ではまだ目立たなかったが、文学ではその地位を確立しようとしていた。・・・逆に、ドイツ語圏およびイタリアという、芸術の二大中心地から産み出される作品の質は、明白に、ある点ではみごとに低下した。(393〜4ページ)
- 自由主義が凱歌を迎えた時代は、革命の挫折に始まり、長期化した不況とともに終わった。・・・この時代は絶頂を極めて幕を閉じたとも言えないし、急激な下降によって終結したとも言えない。見分けにくい分水嶺が、1871年から1879年の間のいずれかの年に存在したのである。(429ページ)
- 資本主義経済は次の四点において著しい変化をみせた。第一に、第一次産業革命の産み出した発明や方法に規定されない、新しい技術の時代に入った。・・・第二に、国内消費市場を支柱とする経済にしだいに転換した。・・・第三に、・・・自由主義に続く時代は、イギリス、ドイツ、北アメリカといった相対立する国民経済の間で、国際競争が展開された時代である。・・・発展と従属とが背中合わせになった新たな形態が、1930年代の不況に至る間、ほんの短い中断を伴っただけで、持続的に展開した。世界経済上の第四の転換はこれである。(430〜2ページ)