日本エッセイスト・クラブ編『最高の贈り物 ’98年版ベスト・エッセイ集』文春文庫、2001年8月

 

最高の贈り物―’98年版ベスト・エッセイ集 (文春文庫)

最高の贈り物―’98年版ベスト・エッセイ集 (文春文庫)

 

 ■読後感

こうしたエッセイ集では、読み物として楽しみつつ、「もっと読んでみたいな」と思える作家を探すことももう一つの目的である。このエッセイ集では、面白いなと思えたのが、辺見庸「靄」-ドヤ街での体験を綴っている-、森まゆみ「桃水の沈黙」-樋口一葉の恋人だった半井桃水が沈黙を守ったエピソード-、玉木正之「関西人のプライド」-京都、大阪、神戸の関西弁の違いとプライド-、王柯「ゆで卵の追想」-日本人は黄身だが、中国人は白身を好きだという話-、高橋揆一郎「転機」-放蕩の果てに芥川賞をつかみ、妻と喜んだ話-などがあった。エッセイはおおむねさらりと読むことができる短文ながら、これは、という視点があると、それだけで一つの作品となるものだなあと改めて思う。