小川洋子『博士の本棚』新潮文庫、2010年1月
■読後感
とても本が好きで、とくに『アンネの日記』には大きな影響を受けた。今でも、どんな本を読んで育ったか、ということを聞かれることが好き。
大学では文学部に入学し、作品を書き始めた。村上春樹や同じ郷里の内田百閒に大きな影響を受けている。
今は、小説はあまり読まず、武田百合子や森茉莉のエッセイなどを中心に読んでいる。
文体に曲がったところがなく、普通の女性らしく、率直でオーソドックスな書きぶりなので、安心して読むことができた。
私自身も武田百合子さんのエッセイの魅力を十分知っているので、同じようにあの独特の世界に惹かれるのだろうなという親近感も持った。どちらかというと小川さんはあらゆることに過去の経験が交錯するのに、武田百合子さんは今直面しているものとの関係がすべて、という違いがあるように感じた。