杉浦伝宗『ミニ書斎をつくろう』メディアファクトリー新書、2013年10月

 

 

■内容【個人的評価:★★★--】

◇ 書斎の定義
  • 書斎とは、その家の主(世帯主である夫や父親)が専有できる、趣味や仕事など好きなことに没頭するための独立した部屋である。(15ページ)
◇ ミニ書斎の定義
  • ミニ書斎とは、寝室・リビング・廊下・階段などの一角に設けられた、広さ3畳以下の、世帯主の男性専用のスペース。 男性はここで一人だけの自由な時間を過ごすことができる。(18ページ)
◇大人の男には一人で考える時間が必要
  • 大人の男には、ときにたった一人で孤独に浸り、自分自身と向き合う時間が必要。 こう書くとなんだかカッコつけすぎのようにも思えますが、齢60を重ねた私の経験からいっても、これは確かに真実だと思います。 人間、ある程度トシを取ると、仕事の進め方について、あるいは生き方そのものについて、誰も注意や助言をしてくれなくなります。 (中略)人は死ぬまで成長し続ける生き物だと思っているので、一日数分でもいいから、わが「来し方行く末」にじっと想いを馳せる時間が私には必要です。(28ページ)
◇ 家でごろごろでは疲れは取れない
  • 一部のサラリーマンは、せっかくの休日にも家でごろごろしていることが多いと聞きます。 休日は、平日に疲れた体を休めるためにあるのだから、と。 しかし、知り合いの医師に聞いてみると、家のソファーに寝転んでテレビを見ていても、心の疲れはまったく取れないのだとか。 働きすぎの人は、体を休めていても交感神経が優位の状態になっているので、精神的にはずっと緊張を強いられているのだそうです。 この状態を打開するのは、仕事とはまるで関係のない事柄に、心身を100%集中させるしかありません。 この「仕事とはまるで関係のない事柄」こそが、一般に「趣味」と呼ばれるものです。 建築家、がこんなことを言うのは畑違いなのですが、働き盛りの世の男性たちには、どうか趣味と呼べるものを持っていただきたいと思います。 (37ページ)
◇ 書斎にはこもり感が重要
  • 書斎には、実はこの「こもり感」がある程度必要です。 ミニ書斎の場合も、三種の神器である机・椅子・書棚を上手に使って、ある程度のこもり感を演出したいもの。 そのためには、背が高めの書棚を「壁」として活用するのが効果的です。(54ページ)
◇ミニ書斎の三種の神器は、机・椅子・書棚
  • 本章の冒頭で、ミニ書斎を構成するアイテムとしてぜひ揃えたい「三種の神器」を紹介しました。 そう、机・椅子・書棚です。 私が考えるミニ書斎は、あくまでも趣味を楽しむためのスペース。 そのため、あなたが楽しもうと思っている趣味によっては、このうちのどれかをまったく使わない可能性もあります。 しかし、それでも私はあえて、机・椅子・書棚の3つをミニ書斎の必須アイテムとして用意するよう、強力におすすめします。 (67ページ)
◇書棚を間仕切りとして使う場合には高さを150cmに
  • 書棚を間仕切りとして使用する場合、高さ150cm程度のものを使うと、室内を広々と感じることができます。 また、書棚の高さを150m程度に抑えておけば、天井にある照明が書棚で仕切った空間にも届きやすくなり、ミニ書斎に必要な照明の数を少なくできるメリットがあります。 (119ページ)
◇ ミニ書斎を居心地の良い空間にするためには
  • 人は好きなものに囲まれていると、それだけで幸せな気分になれます。 好きなものを眺めていると、いま抱えている悩みや気苦労も、束の間だけでも癒されます。 ミニ書斎のいつもの席に座れば、そんな幸せな気分を味わうことができる。 そう自分自身に学習させるために、あなたの「お気に入り」をぜひミニ書斎に並べてください。 そうやって、ミニ書斎を居心地のよい空間にしつらえること。 それがミニ書斎有効活用術の第一歩になります。(135ページ)

■読後感

 書斎という空間は、イメージとしては本棚に囲まれた薄暗いスペースという印象だが、ここではもっと手軽な「趣味の空間」として書斎を作ることを提案している。何も多くの本に囲まれる必要はなく、自分なりに孤独になれる空間として書斎を作ろうというもので興味深く読了した。