築山節『フリーズする脳』生活人新書、2005年11月

フリーズする脳―思考が止まる、言葉に詰まる (生活人新書)

フリーズする脳―思考が止まる、言葉に詰まる (生活人新書)

■読むきっかけ

  • 問題意識として、自分の記憶力の水準の低さがある
  • 一つの原因として、ネット依存の生活があるのではないか
  • どうすれば改善できるのかを考えながら読んだ

■読後感
印象的なのは、ネットで答えを検索するスタイルは、使えば使うほど脳の記憶力を低下させるのではないかと著者が考えているところである。自分もここ2年ほどネット上のFAQをリファインしこれをもとに答えを返すという業務を行ってきた。これは、自分の記憶ではなくデータベースに頼るものである。

ただし、最初にFAQを構築した第一世代は、自分で考えながらこれを作っているため、自分の記憶にきちんとしまいこまれており、データベースを参照しなくても回答ができてしまう。FAQどおりの回答がまず前提としてあると、これを検索することが目的化してしまうため、自力で解決しようとする能力は低い水準のままとなってしまうのだろう。(「思い出す努力が「検索する」に代わっている」)

ほかに印象的なのは、社会の歯車であることが脳の働きを活性化するうえで重要であること。社会で活動することで外界からの刺激を絶えず受け続ける環境こそ脳機能の活性化をもたらすものであるということである。

最後に記憶を引き出しやすくする方法として、以下の3つが掲げられていた。
1.繰り返し思い出そうとすること
2.ファイル化(分類化)すること
3.記憶を引き出すときの手がかりを増やすこと

重要なのは、単純に見える記憶の問題が、じつは考える力などの基礎を構成しているということである。