岩波書店編集部編『いま、この研究がおもしろい』岩波ジュニア新書、2005年6月
- 作者: 岩波書店編集部
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/06/21
- メディア: 新書
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○「薬の開発のために脳をきわめる《大脳生理学》池谷裕二」
- 二人のヒッチコックの絵、じつは両方とも同じ濃淡なのに、一方は白く、他方は黒く見える。これは地となる背景の違いによるものである。このように、現実の世界とわれわれが感じる世界は一致していない。
- 脳は、光の情報を処理し、同じものを違うものとして解釈した。こうした脳の判断が私たちの意識のすべてであって、実際の世界がどうなっているかは感知外なのである。
- 脳は、古代の原始生物時代に形成された部位(上丘)と、ヒトになってから大きく発達した部位に分けられる。光も、この二系統で別々に処理をされ、正確な処理ではあるが無意識に属するもの(上丘)と錯視を生む処理に分けられる。
- 薬学部で研究しているが、からだの仕組みと薬の研究は密接にかかわっている。脳を研究することにより、痴呆を治療する薬をつくることを目指している。
- どうしたらすばらしい発見ができるのか。それは問題意識を持つことによる。ただ見るだけでは発見とは言えない。目の前に見えている事実の重要性に気づいてこそ発見といえる。その重要性に気づくのは問題意識を持っているかどうかである。
- セレンディピティーが訪れるかどうかは、周到に努力と勉学を積み重ねてきたかにかかっている。
- 日本では高齢化が進むとともに情報化も高度に進んできている。
- これまでも失われた機能を機械で置き換えようとする医療工学が発達してきている。福祉工学は人を改造するのでなく、身の回りを改造するという考え方である。しかしマーケット自体が小さいという難点がある。
- 大脳が失われた機能を補おうとする可塑性に着目すべきであり、すべて機械により対応するという考え方はとらない方がよい。
- ラテンアメリカの音楽は多様で、たとえばアルゼンチンにはタンゴ、ブラジルにはサンバといったその国を代表する音楽ジャンルがある。音楽は町の人々の生活に根差している。
- ポピュラー音楽研究というジャンルは確立されているとは言えない。
- 水の中でメタンが燃える、水を超臨界状態=液体とも気体ともつかない状態にするとこんなことが起こりうる。
- 抽出溶媒にするという応用が考えられる。たとえばコーヒーからカフェインを抜くなど。
- 中小企業について賃金の格差であるとか、下請け関係にあるなど不利益を強調されるが、しかし、実態は力強く経営を続けている。また、創意工夫を重ね、やりがいある職場も多い。
- 大企業も金型や精密加工など中小企業を必要としている。
- 2005年の今、着目しているのはナノテクである。超小型ポンプなどである。
- 通説と実態は必ずしも一致しない。中小小売商を滅ぼしてしまうといった観点で大店法(1973〜1997)が定められ、大型店は郊外に立地したが、かえって集客力のある施設を外に置くよりも中心市街地に置いた方が商店にも人が集まるとの観点から中心市街地活性化法により呼び戻しを図っている。
- 私は目的や目標を持って人生を歩いてきたわけではない。しかし無駄な経験は一つもなかった。
- 遺跡発掘により出土したものをDNA考古学を利用し、当時の暮らしが分かるようになってきている。
- 隕石のほとんどはコンドライトという物質であり、その生成を確認することは太陽系成立の謎を解くカギとなる。
- 家が鍛冶屋で貧しかったので、医学部に進んだ。
- 精神医学を専攻した。その当時開放病棟の考えが実行に移された。
- 日本では入院治療中心主義であるが、西欧では地域で治すという方向が推し進められている。
- 韓国にはじつは児童文学が豊富である。この研究を通じ日本を客観的に見ることもできた。
- 美容福祉は年齢にかかわらずその人らしく生きるための手段である。
- 相手国との違いをきちんとふまえた研究が必要。