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幸田真音『あなたの余命教えます』講談社文庫、2011年3月

あなたの余命教えます (講談社文庫)

あなたの余命教えます (講談社文庫)

■内容
この小説では、DNAや行動習慣をもとに残された余命を予測する企業を取り上げ、そこで診断を受ける数人の男女をめぐって話が展開される。

テーマは、余命を知ることがその人間の人生(余生)を充実したものにできるのか、ということである。この小説では、自分については「そんなことはないはず」という拒絶の感情を抱いたり、あるいは義母や妻なの余命を知ることで、逆に期待や、失望などを感じたりするといった心の動きが描写されている。

■読後感
自分自身に照らして言えば、一般的な平均余命を知っておくことにそれほど抵抗はない。逆に言えば、平均寿命(零歳時平均余命)は知っていても平均余命や標準偏差などの知識がない人々は、積極的に知っておくことが望ましいのではないかとさえ感じている。
ただし、人間は機械ではないのだから、余命がわかりました、それでは一分一秒をおろそかにせず人生の目的に向かって突き進むということはできない。
どちらかというと、余命を意識することによりそれなりに無駄な方向に影響されない、悪徳なこと、不要なことはしない、あるいは来るべき日に備えてそれなりの準備を怠らない、くらいのことしかできないだろう。しかし、それだけでも十分ではないか。