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久我尚子『若者は本当にお金がないのか:統計データが語る意外な真実』光文社新書、2014年6月

■内容【個人的評価:★★★−−】

◇若者は非正規の状態にあっても中高年層より経済的満足度が高い

  • 若者は厳しい経済環境にあるはずだが、却代では「所得・収入」や「資産・貯蓄」の満足度も高い。一方、40〜50代では正規雇用者が多く所得も多いはずだが、満足度は低い。(56ページ)
  • 若年非正規雇用者の男性は、団代以上の家族世帯の大人1人あたりの可処分所得より多くを手にしていることになる。(91ページ)
  • 厳しい就職状況や非正規雇用者の増加、また、バブル世代のような高額消費をしない風潮から、今の若者は「お金がない」と言われている。しかし、実際に月々手にしている金額を推計すると、バブル期の若者よりも、家族を持つ中高年よりも多くを手にしている。今の若者は、目先のお金には案外不自由していないようだ。このことが、加代で、中高年よりも「所得・収入」や「資産・貯蓄」の満足度が高い背景と言えよう。(92ページ)


◇最近の若者の嗜好の変化

  • 今の若者は、必ずしも手元にお金がないわけでも余暇時聞がないわけでもない。しかし、将来の所得不安や雇用不安が経済的余裕のなさ、時間的余裕のなさにつながり、「旅行離れ」が生じているようだ。(158ページ)
  • 若者の消費実態を傭敵すると、今の若者は、デフレや流通環境の進化による消費社会の成熟化、情報通信をはじめとする技術進化の恩恵を受けて、バブル期の若者よりもお金をかけずに多様な商品・サービスを楽しめる環境にある。安価で高品質な商品・サービスがあふれ、娯楽も多様化していることで、選択できる対象も増えている。こういった変化によって、今の若者では消費に対するモノサシが変わり、「クルマ」や「高級ブランド品」といったバブル期の若者が欲していたものへの興味関心が相対的に薄れているのだろう。(168ページ)


◇伝統的家族観への回帰傾向

  • 日本では未婚化・晩婚化、少子化が進行しているが、若者の大半は結婚を望んでいる。また、結婚に対する先延ばし意識も薄らいでいる。家族を持つことの価値意識も高まっており、家族観も伝統回帰している。多くの若者たちは、これまでと同じように、結婚して子どもを持つことを望んでいる。(205ページ)

■読後感
一般に、若者は「お金がない」と言われているが、多くの場合それは真実とは言えず、むしろ経済的幸福感の最も高い世代であることを豊富なデータを利用して立証した力作。