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モリエール『人間ぎらい』新潮文庫、1952年3月

人間ぎらい (新潮文庫)

人間ぎらい (新潮文庫)

■読後感
この喜劇は日本でいうと江戸時代の初期に著されたものだが、たしかに背景や表現こそ古めかしいものの、あらゆる人間を憎む正義漢アルセストのバカバカしさは、今の時代にあっても伝わってくるものはある。
ただ、バカバカしさはこのアルセストのふるまいだけではなく、とりわけ上流社会におけるしきたり、こびへつらいなどに塗り固められた人間関係など、アルセストが芯から嫌った対象そのものでもある。

この本が著された17世紀中ごろはまさにブルボン朝の最盛期を迎えようという時代であり、そうした滑稽なふるまいが社会で大手を振って行われていたことについてもモリエールは描こうとしたのかもしれません。