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外山滋比古『逆説の生き方』講談社+α文庫、2016年8月

 

逆説の生き方 (講談社+α文庫)

逆説の生き方 (講談社+α文庫)

 

 

■内容【個人的評価:★★---】

◇さしさわりのある話はほかの人に話さないこと
  • ある大学で苦労人の老教授が、卒業する学生にアドバイスした。 「企業で働くようになっても、別に、馬車馬のようにただ働くばかりが能ではありません。人からきいた、おもしろい話、さしさわりのある話、秘密は、胸にしまって、ほかの人に話さないようにするのです。五年もすればまわりの信望が集まり、出世できます。とくに大きな仕事をしなくても、評価されることうけ合いです・・・・・・」 たいていの学生がきき流したというが、心にとめた数人の学生は、後年、先生の知恵に感服したらしい。(96ページ)
◇いつでも辞めてやるという覚悟
  • 引く潮どきを誤ったことはないように思う。いましていることをやめる用意をしていたいと考える。いつも辞表をふところにしているという勤め人のことが、そんなわけで、好きである。 いつでも辞めてやる、という覚悟さえできていれば、 いつも、この世はたのしく、案外、平和である。 (184ページ)
◇我慢の効用
  • 個人にとっては、もっとおだやかな方法がある。自分をしばっているものと戦うのではなく、できるだけ我慢する。そうすると、やがて馴れによって、不自由を不自由と思わなくなる。つまり、不自由を”忘れる”ことによって、自由になりうる、というわけである。この方法はすべての人にとって可能である。ただし、重ねていうが経済的自立が条件である。その自立を得るために、節約、貯蓄ということ、が美徳になる。ケチな人ほど自由になりやすい。(195ページ)
◇知識の功罪
  • 知織は有用であり、適当に使えば知識は「力」であるけれども、困ったことに、知識が多くなると、自分でものを考えることをしなくなる。知識があれば、わざわざ自分で考えるまでもない。知識をかりてものごとを処理、解決できる。それで知織が豊かであるほど思考力が働かない傾向になる。極端なことを言えば、知識の量に反比例して思考力は低下する。(201ページ)
◇考えるのに最適なのは朝
  • 具体的にどうしたらものが考えられるようになるのか。朝、目をさましたら、すぐ起きないで、ぼんやりする。なるべく過ぎ去ったことは頭に入れない。浮き世ばなれしたことが頭に浮かんだら、それを喜び、 忘れてこまるようなことだったら、メモする。毎朝十分か二十分、こういう時間をもてば、誰でも思考家になれる。考える人間になれる。夜、考えごとをするのは賢明ではない。思考は朝に限る、この朝の思考を十年続ければ、その人 は人のまねでない考えをもつことができるようになる。 考える人聞は朝つくられる。(207ページ)

■読後感

本書では、まず、挫折や失敗することの効用、できるだけそうしたことを早くから経験し、その後に活かしていくことを説いている。

また、知識というのは有用である反面、思考力を低下させる力を持っていること、自分自身で考える時間を、とくに朝10分か20分でも持つ習慣が大切であることを説いている。