蛭子能収(2014)『ひとりぼっちを笑うな』角川oneテーマ21

■内容【個人的評価:★★★−−】

◇最近のはやり言葉「空気を読め」について−集団への帰属圧力−

  • 「不謹慎」とか「空気を読め」という言葉。そんな言葉も、ここ最近よく耳にします。いまの日本には、そういった無言の圧力みたいなものが存在しているように感じるんです。(19ページ)


◇行きたくないところへは行かない

  • 病気や老衰、交通事故などで誰かがお亡くなりになれば、よほどのことがない限り葬式が行われます。でも僕、ほとんど行かないんですよ。いや、まったくと言っていいほど、意識的に葬式には行かないようにしています。なぜなら、理由は単純で”行きたくない”から。一社会人として、ちょっと常識に欠けた行動なのかもしれないとは自覚していますよ。でも、どうしてもあの席には足を運びたくありません(あえてバカ正直に申告するならば、葬式もですが、結婚式にも興味がないのが僕)。でも実際のところ、葬式に積極的に行きたい人なんて、本当はいないんじゃないのかな?という見方をしています。(28ページ)


◇悩みは相談せず、自分で考える

  • そもそも、「友だち」がいることのメリットってありますか?たとえば、「悩みを相談できること」でしょうか?でも、僕の場合、自分の悩みは、すべて自分で解決することにしているんです。というのも、誰かに悩みを相談して、「なるほど」と思ったことが、ほとんどないから。だって、その悩みについて誰よりも詳しいのは自分ですよね。だったら、誰かに話すよりも、とことんまで自分で考え抜いたほうが、きっといい結果が出るような気がするんだけどなあ。だから、自分の悩みを他人に話すということを、僕はまったくしません。(54ページ)


◇本当の「勝ち組」−他人と比べない−

  • 僕思うに、自分でお金を稼いでそれで自由に生活していけるのなら、収入が多い少ないにかかわらず、それだけでもう”勝ち組”だと思うんですよね。少なくとも食っていけているのなら、他人がとやかく言うような話ではない。その人は自由になる権利を得ていぜいたくできるし、賛沢の基準なんて、これまた十人十色ですからね。むしろ、問題なのは自分自身の心のあり方かもしれませんよ。(151ページ)

■読後感
ひとりぼっちの効用を蛭子さんらしい言い回しで説いています。全体を読むと、ちょっとわがままなところも見え隠れしていますが、そこが蛭子さんらしいところかと思います。きっと本当はひとりぼっちはいやなんじゃないかな?
さて、いやな言葉の代表格ですが「勝ち組」については全く蛭子さんのいうとおりで、「自足」できることこそ大切だと思います。ただ、そうした「自足」を世間・マスコミが許さない、比べることこそ命という人々もいるということもあるでしょう。だからこそ、世間には少し距離を置きましょう、ということなんでしょう。