松浦弥太郎『あたらしいあたりまえ。-暮らしのなかの工夫と発見ノート-』PHP文庫、2012年11月

 

あたらしいあたりまえ。  暮らしのなかの工夫と発見ノート (PHP文庫)

あたらしいあたりまえ。 暮らしのなかの工夫と発見ノート (PHP文庫)

 

 

■内容【個人的評価:★★★★-】

◇ 本当の楽しさは「面倒くさいこと」のなかにある
  • 手間隙かけ、自分で育てた野菜。お仕着せのツアーではない、ゼロから計画を立てた旅行。仕事でも暮らしでも学びでも、ものごとの良さや味わい、いいとこ ろ、楽しいことはすべて、面倒くさいことから生まれるものです。
    ○「面倒くさい」を禁句にしましょう。
    ○本当の楽しさは、面倒くさいことのなかにあるのです。(41ページ)
◇ しんどいほうを選ぶ
  • しんどいほうをやり遂げたときの満ち足りた気持ちは、ささやかな家事でも小さな仕事でも、尊く大きなものですから。
    ○迷ったときは、しんどいほうを選びます。
    ○たとえ失敗しても、チャレンジはできたのです。(48ページ)
◇ 日常の中にわくわくを見つける
  • 何もしない。特別な場所にも出かけない。外ヘ、外へと求めない。 日常の真ん中、近いところにわくわくを見つける名人になれば、いつのまにか退屈なんて、どこかに消え去っていくでしょう。
    ○日常の真ん中、足もとのわくわくを見つけましょう。
    ○外ヘ外へと求めすぎないこと、それはあなたを自由にします。(52ページ)
◇ 花を買う習慣を
  • 雨の日に暗くなるのは、部屋の中だけではありません。僕たちの心の中も、ちょっぴり薄暗くなっているものです。 そんなときは、昼間から電気をつける前に、外に出ましょう。傘をさして、花を買いに行きましょう。部屋だけでなく、気持ちまでが華やぎます。 短い間でも生きている花。花瓶の水を替えることも、花を飾る喜びのうちです。
    ○花を買う習慣を身につけましょう。
    ○花は部屋だけでなく、気持ちも明るくしてくれます。(75ページ)
◇ 下着や靴下はいつも新しく
  • 不潔感のあるもの、古びてよれよれのものは身につけないというのは、ぴんと伸びた背筋や、洗いたての素肌に通じることだと感じます。
    ○不潔感のあるもの、古びてよれよれのものは処分しましょう。
    ○下着や靴下をいつもあたらしくしておくだけでもばりっとします。(100ページ)
◇ まずは、自分で考える
  • 自分で考えず、人の答えを鵜呑みにして、いらいらしたり誰かのせいにしたり-こんなひどい人間になってしまいかねない習慣は、さっさとやめたほうがいいのです。「まずは、自分で考える」 これをスローガンにして、毎日自分に言い聞かせましょう。わからなかったら、まずは自分一人で、静かに考えること。とことん考えぬくこと。 時間はかかりますが、理解は確実に深くなるはずです。
    ○パソコンのマウスに伸ばしかけた手を止めて、目を閉じてみましょう。
    ○苦労してみつけた答えだけが、しっかりと身につくのです。(128ページ)
◇面倒なかかわりの中に輝く宝がひそんでいる
  • 「辞めたいんですけど」 「はい、わかりました」 これだけで終わるくらいなら、いったい、今まで過ごした二人の時間はなんだったのでしょう。ぎくしゃくと歪んでしまったところを、少しずつ整えていくことこそ、人とのつきあいの基本だと僕は感じます。
    ○関係性のある決断は、一人で下すことはできません。
    ○人との面倒なかかわりの中にこそ、輝く宝がひそんでいます。(131ページ)
◇ 黙っていることの効用
  • ときには、聞かれるまでは黙っているほうがいい場合もある。相手に尋ねられたことだけを、的確に答える。 これは、口をつつしみ、自分をコントロールする練習です。 友だちのお父さんが教えてくれた、話すというバランスを、僕はずいぶんたってから理解したのだと思います。
    ○一○話せば、相手が一○理解してくれると思うのはまちがいです。
    ○ときには、黙っているほうがいい場合もあるのです。(135ページ)
◇「速いが一番」は禁物
  • 暮らしや仕事でのトラブルのほとんどは、スピードを出しすぎた結果として起こります。それなのに「速いが一番」など、決めつけるのはこわいことです。ちょうどいい感情のスピード。ちょうどいいプロセスのスピード。速ければいいというのではありません。ちょうどいいスピードを無視して一人で飛ばしたら、協調しているつもりが、たった一人で違う道を突っ走っている、 なんてことにもなりかねません。だから、いつでもブレーキをかけて止まることができる、「自分のペース」を守りたい。 ブレーキをかければ、飛ぶように過ぎていくだけだった、まわりの景色が見え てきます。いったん止まれば、この道をまっすぐ行くのがいいか、曲がり角にさしかかっているのかも、はっきりとわかります。(159ページ)
◇できるだけおだやかでいること
  • できるだけ、おだやかでいること。いつでも自分のペースで、平常心をもって、ていねいに暮らしていくこと。この心がけでおおよそのことは乗り越えられますし、慌てても、いいことなんか、まるでありません。 シンプルでもたいそう難しいことだからこそ、毎日毎日、一日に何回も何回 も、まるで鏡で自分の顔を見るごとく、考えることにしましょう。「今、おだやかでいるだろうか?」
    ○おだやかさとは健康な証拠です。
    ○おだやかさは毎日をちょうどよく暮らすための一歩でもあります。(193ページ)

■読後感

松浦弥太郎さんのもっている穏やかさというものは、社会人生活をしているととても貴重なことに思われます。 スピードこそ命、「じっくり考えて」よりも決められた形で動いていく毎日を感じています。 ネットを情報源にして、答えをネットで探ることが一般化して、考えるという活動そのものが退化しているのかもしれません。