小川仁志『日本を再生!ご近所の公共哲学』技術評論社、2011年7月
日本を再生!ご近所の公共哲学 ―自治会から地球の裏側の問題まで (生きる技術!叢書)
- 作者: 小川 仁志
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2011/06/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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○第一章「公共哲学の時代 ー公と私は対立するものか?」
○第四章「行動する哲学者のまちづくりー限界集落はなくなるか?」
○第五章「教育をめぐる侃々諤々ーニートと引きこもりをゼロにできるか?」
○第六章「あえてインターネット批判ーケータイは善か悪か?」
- 問題はあまりに便利すぎて自分の頭で考えることがほとんどなくなってしまうことです。
○第八章「地球サイズの公共性ー利己主義は乗り越えられるか?」
- 楽観主義と切って捨てるのは簡単です。でもそれは思考停止にほかなりません。
「あれ、なんか変だな。」という箇所が目立った。話が散漫で、諸学者の主張をつまみ食い(失礼!)しつつ、おしゃべりに近い形でどんどんテーマが移っていく。あまり深くは追求せずに、「戦争はおかしい!」など、いろいろな物事を単純に断定してしまっている感がある。
ネットのコピペを、人間の考える営みを失わせるものとして批判しているが、この本自体がコピペに近いものに思われた(失礼!)。
また、サンデルのコミュニタリアニズムを賞賛する一方で、他の議論を意味のないものとして捨象してしまっている感がある。サンデルは、個別の事象について、まず議論を基底にして、そのときの最適解をともに求めていくプロセスを重視したはずだと思うが。
心打つ音楽は争いを思い止まらせる、という主張、たしかにそうしたことはある。ただし、ナチス幹部は残虐な殺戮を行いながら、ワーグナーやモーツァルトを聴いて感動していた。音楽を聴けば、というのはちょっとおめでた過ぎやしないだろうか。
いろいろと批判してしまったけれど、つまみ食いの学説より「ご近所」での公共哲学カフェの具体的な取り組みとこんな成果が現れているという話をもっと聴ければ面白いとおもうのだけれど。