恩田陸『チョコレートコスモス』

 

チョコレートコスモス (角川文庫)

チョコレートコスモス (角川文庫)

 

 ■読後感

著者の『蜜蜂と遠雷』を「次は、つぎは?」と憑かれたように読み、同じ著者の作品であるこの本を読みました。『蜜蜂』がピアノコンクールをテーマとして描いたのと同じように、ここでは演劇のオーディションに挑戦する女性たちが描かれています。『蜜蜂』では風間塵という天才少年が主人公の一人でしたが、ここでも佐々木飛鳥という、まったく演劇経験のない大学生でありながら、演じるということに天才的なひらめきをみせる女性が挑戦者として登場します。

この作品でも、女性たちの心理描写も見事でしたし、取り巻いている大人たちにも存在感を感じました。『ガラスの仮面』を意識した作品とのことでしたが、『蜜蜂』を読んでピアノ演奏に改めて関心を持ったのと同じように、小劇場での演劇を観てみたくなりました。