宇沢弘文『近代経済学の再検討−批判的展望−』岩波新書、1977年5月

■内容【個人的評価:★★★−−】

  • 現代経済学に対する批判は主として二つある。
    • (1)経済学が外部性の問題を無視していること
    • (2)新古典派の経済理論が静学的な均衡分析に終始し、インフレ、失業、寡占、所得分配の不平等といった動学的不均衡について有効な分析ができていない

○序章
○1「新古典派理論の輪郭」
○2「新古典派理論の基本的枠組み」

  • 一般に外部不経済ないし外部経済が起きるのは、生産過程で必要となるような希少資源が存在するにもかかわらず、各経済主体に分属されていないからと考えられる。

○3「ケインズ理論の展開」
○4「動学的不均衡理論の構想」
○5「社会的共通資本の理論」

  • 自然環境、社会資本のように、私有を認められていない社会的共通資本が経済循環のプロセスでどのような役割を果たし、経済成長のテンポ及びパターンにどのような影響を及ぼしているかという問題についてはケインズ経済学においても新古典派経済学と同様に理論的枠組が用意されていない。
  • ケインズ政策を適用すると、クリーピングインフレーションが起きることが経験されている。