伊藤明夫『細胞のはたらきがわかる本』岩波ジュニア新書、2007年9月
- 作者: 伊藤明夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/09/20
- メディア: 新書
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- 生命の定義は、
- 1.外界との区別する境界をもっていること
- 2.自分と同じものをつくり増やすことができること
- 3.外界から物質を取り入れて自分の体をつくり、自分が活動するエネルギーをつくって自分を維持することができること
- である。こうした性質を備え、細菌・酵母のような微生物、植物、動物などすべての生き物に共通なものとして「細胞」がある。
- われわれはたくさんの細胞からつくられているばかりでなく、これら細胞の一つ一つが連携しあっている。これは、個人と組織からなる社会と似ている。
- 私たちの身体は小さな細胞がおよそ60兆個集まってつくられている。
- ほとんどの細胞は微小で肉眼で見ることはできないが、見ることのできる細胞としてニワトリの卵がある。卵黄は一つの細胞である。
- 人としての個体は死んでも細胞がすべて死ぬわけではなく、分裂して増え続ける細胞もある。
- 百年前と比べると、平均寿命は40歳も違うが、70歳老人の平均余命は男性で8.0年から14.3年、女性で8.8年から18.7年と、極端に伸びているわけではない。
- 動物では生殖可能年齢がおおよそ決まっており、この活動が終わると急速に活力を失い、死んでしまう。
- 脳の神経細胞は、誕生したときから増えることはなく、20歳を過ぎると一日に10万個以上死滅してしまう。心臓からの血液量も加齢とともに減少する。病気にかからず事故にもあわなければ、120歳が寿命となる。
- 酸素がなければ細胞は生きられないが、酸素はからだに害を与える毒でもある。活性酸素は攻撃的で毒性が強く、老化現象の真犯人ではないかと考えられている。具体的には、DNA鎖を切断したり、塩基の変化、脱落を起こしたりして異常なたんぱく質をつくり出してしまう。呼吸こそが老化と死を引き起こす。逆に、酸素の利用が少ないと老化は抑えられる。腹八分目などは有効というデータもある。
- 外界と接する細胞はすべて短命である。皮膚、髪の毛などがそれにあたる。
- 細胞と細胞の間は、細い筒状の管で結ばれている。(ギャップ結合)